研究課題/領域番号 |
12020217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50173159)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 水素結合 / 配位子 / 電子伝達 / 錯体 / 金属タンパク質 / 硫黄 / ヘムーチオレート / 非局在電子系 |
研究概要 |
電子伝達銅タンパク質であるプラストシアニン、2電子還元を受けるヘム酵素シトクロムP450は金属-硫黄…H-N結合を共に持つが、これらの結合方向は電子授受が行われる経路方向に一致する。このことより本構造と電子伝達の効率との関連を予想しており本研究により初めて明らかにすることを主たる目的としている。本年度は比較のために水素結合型錯体SR-HBと同じ酸化還元電位を有する水素結合を有さない錯体を開発することが水素結合の効果をより明確に評価できると考えて検討した結果、SR錯体の軸配位子近傍の芳香環にニトロ基を導入したmNO_2SRを合成することを行い、本錯体がSR-HBと同一の酸化還元電位を有していることがわかった。次にその2つの錯体に関し電子伝達能の比較を行った。手法としてはセミキノンラジカルから錯体への電子移動速度の測定を福住らの方法を用いることによって検討を行った。その結果2錯体間では酸化還元電位自体は同一なのにも関わらず、mNO_2SRよりもSR-HBが一桁速く電子伝達を行った。数種のセミキノンラジカルにおいて同様の伝達能の大きな違いが観測され一般性ある結果であった。このことは、NH…S水素結合部位が、錯体構造の電子伝達能に対し能力を飛躍的に高める従来知られていない機能が備わっていることを示しており、生体内におけるNH…S水素結合の存在の意義や電子伝達に関わる機能性分子の設計原理に関わる知見を得たと考えている。
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