研究課題/領域番号 |
12020226
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
沢木 泰彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30023120)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ラジカルイオン / 光増感電子移動 / パルス光 / 酸化還元 / ラジカル / 反応中間体 |
研究概要 |
ラジカル種やラジカルイオン種は、有機化学反応において短寿命中間体とされ、その構造と反応性については不明なことが多い。本研究では、ラジカルとラジカルイオン種の反応について検討するもので、ラジカルイオン種による酸化還元反応の制御因子を解明することを目的とする。 光化学的にラジカルとラジカルイオン種を同時に発生し、ラジカルの酸化・還元反応について系統的に検討した。反応系はかなり複雑であるが、ラジカルの酸化生成物(カチオン種)と還元生成物(アニオン種)を定量することにより、制御因子を解明することが可能になった。アニオン種とカチオン種の比は、通常の定常光照射では1:10であるのに対し、レーザー光をパルス照射すると生成比は1:1となった。パルス間隔を短くすると、この比は徐々に増加する。この事実は、酸化剤であるラジカルカチオンと還元剤であるラジカルアニオンの濃度比が、パルス間隔と共に変化することを示すものである。その他の反応例として、芳香族カルボン酸塩とシアノ芳香族化合物への光照射による光脱炭酸反応がある。カルボン酸アニオンの一電子酸化、脱炭酸、ラジカルの還元が溶媒カゴ内で高効率で進行する。この場合、レーザーフラッシュ分光法によりカルバニオンの生成を確認した。還元力が弱い場合でも、長寿命のラジカルアニオンにより徐々に還元が進行することが判明した。寿命が長く濃度比が高くなるために還元が進行するもので、安定ラジカルイオン効果によるものである。これらの結果より、活性中間体の相対濃度によって反応の選択性が支配されることが明確に示された。
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