研究課題/領域番号 |
12020231
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 直樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (10170771)
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研究分担者 |
吉田 弘幸 京都大学, 化学研究所, 助手 (00283664)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 両性分子 / 極性分子 / 分子配向 / 分子会合 / 分子集合化制御 / 蒸着薄膜 / 電子物性 |
研究概要 |
電子供与性と受容性の基を準非局在性共役電子系で結んだ高い両性をもつ極性分子(HAPM)を設計・合成し、分子内と分子間の双方に働きうる電荷移動相互作用により新奇電子物性が望める分子システムを構築するため、その分子の種々に集合化を試みた系の構造や電子的特性を調べて、HAPMの特徴を捉えることを目指している。 TTM-TTFとTCNEを半分ずつキノイドで結んだ2-(4-ジシアノメチレンシクロヘキサ-2,5-ジエニリデン)-4,5-ビス(メチルチオ)-1,3-ジチオール(DDBMD)を設計・合成して、分子軌道計算やCVなどの実験結果からこの分子がHAPMの基本的性質を備えていると前年度までに確認したことを受け、今年度は、分子特性のより詳細な検討を含む溶液中での会合挙動、薄膜状態での分子配向性と電子構造に関する特徴に的を絞り研究を進めた。 分子軌道計算が推算した最低励起波長よりも著しく長波長側に強い吸収帯をもつDDBMDの溶液の電子吸収スペクトルは、溶媒や濃度に対する依存性が顕かでなかったが、入念な実験から強い極性溶媒では10^<-7>mol dm^<-3>以下で濃度依存性を示した。この結果から、溶液中のDDBMDは平衡定数K=10^8mol^<-1>dm^3の二量化平衡状態にあると解釈できることが分かった。一方、DDBMDのメチル基をより長いアルキル基に置換したものが単分子膜で示すH会合体に特徴的なスペクトルは、溶液とも単結晶とも異なっていることも明らかにした。これらの挙動は、二量体配置に関して行った分子軌道計算の結果も参照しながら、それぞれ異なる分子会合形態を考えて説明できる。さらに、DDBMDの真空蒸着薄膜では、上の三つの特徴的なスペクトルに対応するスペクトル寄与の比が蒸着条件を選択することにより変化する結果を得た。微結晶やこれらの薄膜に対して進めているFT-IR測定も踏まえ、HAPMの分子集合化に関する構造制御と電子構造との相関について、その特性を明らかにしつつある。
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