研究課題/領域番号 |
12020237
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上山 憲一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80093376)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | NH-S水素結合 / 金属-硫黄結合 / Hg硫黄錯体 / Cu硫黄錯体 / Fe硫黄錯体 / P-450モデル |
研究概要 |
金属酵素の反応性変化は主に『配位原子への水素結合』によることをモデル錯体の研究から見出しきたが、その延長上に、蛋白質などの構造変化が、水素結合のインターフェイスを使い、金属イオンのトランス位の配位子の求核性の変化に連動し、非線形的に反応を制御している機構の解明につながる研究がある。この配位子の構造変化で求核性の変化を起こしうる簡単な配位子を使って錯体を合成し、配位子の水素結合による求核性の変化で錯体の機能が変化することを調べた。チトクロームP-450の活性中心の金属イオンにおける『水素結合によるその中間体の安定化』と、Hg(II)イオンの2配位と4配位錯形成での構造変化による機能制御に関して新しい知見が得られたので報告する。 金属錯体の配位子が構造変化することによって配位原子に水素結合を形成したり、切断が可能な配位子として2-t-BuNHCOC_6H_4SHとその脱プロトン化した(NEt_4)(S-2-t-BuNHCOC_6H_4)を合成し、それぞれの結晶構造を決定した。その結果、前者はSH-O=Cの水素結合をもち、後者はS-HN水素結合をもつことがわかり、芳香環とアミド面の間で180°の回転が起こった構造変化をしていることがわかった。金属-硫黄結合が共有結合性の2配位錯体、Hg(S-2-t-BuNHCOC_6H_4)_2では水素結合を作らないことがわかり、一方、同じ配位子をもつ4配位錯体、(NEt_4)_2[Hg(S-2-t-BuNHCOC_6H_4)_4]では180゜回転してNH-S水素結合を作り、Hg-S結合はイオン性になっているとわかった。この性質は、同じd^<10>錯体の3配位錯体、(NEt_4)[Cu(S-2-t-BuNHCOC_6H_4)_3]やd^6の4配位錯体、(NEt_4)_2[Fe^<II>(S-2-t-BuNHCOC_6H_4)_4]もNH-S水素結合を作ることから、金属-硫黄の結合性に依存した硫黄原子の状態でこの水素結合は形成する場合としない場合があり、同時に配位子の構造に連動できることがわかった。
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