研究概要 |
水素気流中で373〜773Kまで昇温し,1〜12時間水素還元したPt/MoO_3のMo平均酸化数と表面積の関係を検討した.MoO_3の還元が進行するとともに表面積が増大し,平均酸化数2.5〜1.8,すなわちMoO_<1.25>〜MoO_<0.9>で表面積が240m^2g^<-1>と最大となった.Ptが存在しない場合には,還元温度の影響を受け,高表面積MoO_xは623K以下の水素還元でのみ生成した.これに対して,水素還元したPt/MoO_3の表面積は還元温度によらずにMoの平均酸化数で整理できることが明かとなった.平均酸化数が3.64までは細孔の生成はみられないが,還元がさらに進行すると6〜30Åの細孔が生成した.Mo平均酸化数が1.8以下ではDv/Dr値が低下し,細孔構造が崩壊していることが示唆された.このことより,ナノ細孔の生成により表面積が増大していることが明かとなった. XRD測定より、Pt/MoO_3を水素気流中で昇温して還元した場合には昇温過程(298〜473K)でモリブデンブロンズH_xMoO_3相が生成し,その後この相が分解,還元されていることが示された.多孔性高表面積MoO_x生成に対するH_xMoO_3相の役割を明らかにするため、窒素気流中で673Kまで昇温し、1〜24時間水素還元した試料およびPt/MoO_2を水素還元した試料の表面積を測定した.窒素気流中で昇温した場合にはMoの平均酸化数によらず表面積は約40m^2/gとなり,細孔は生成しなかった.また,Pt/MoO_2を水素還元した場合も表面積の増大はみられなかった.以上のことより,ナノ細孔を有する高表面積MoO_xは水素化物H_xMoO_3から生成することが明かとなった.
|