研究課題/領域番号 |
12023205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡本 健一 筑波大学, 化学系, 教授 (70132983)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 集積型キラル多核錯体 / レニウム多核錯体 / 生体関連モデル錯体 / キラル錯体配位子 / 立体選択性 / 不対電子配置 / 混合原子価状態 / 酸化還元特性 |
研究概要 |
本研究では、集積型キラル多核錯体について、キラル錯体配位子の自己集積化で形成される多重キラル中心に依存する化学的機能の観点から検討した。まず、集積型キラル多核錯体の酸化数や電子配置とその性質について、種々の酸化数を取り得るレニウム多核錯体を用いて追及した。レニウムイオンを取り込んだ新規多核錯体は、キラル中心を有する錯体配位子と過レニウム酸塩を還元剤を用いた反応で合成した。不対電子配置を有するレニウム(III)イオンに依存する酸化還元特性や磁気的性質などの物性および反応性について検討し、興味深い知見を得ることができた。次に、キラル中心を有する錯体配位子を集積化した硫黄架橋キラル多核錯体の立体選択的な反応性とその化学的性質について追及した。キラル中心を有し2つの架橋硫黄原子をもつ置換しやすいニッケルの多核錯体を選択的に創成し、この錯体配位子の選択的な置換反応を用いて、種々のキラル中心を有する多核錯体の合成法を確立した。また、硫黄架橋多核錯体の電気化学的な手法による酸化還元を用いて生じた混合原子価状態に関する分光化学的性質について追及し、かなりのデータを集積した。この研究は、今後さらに検討を続ける予定である。さらに、生体関連モデル錯体の配位環境とその性質について、生体中の閉核電子構造を有する金属イオンをモデルに、その立体化学と化学的性質との関係について追及した。金属と硫黄との結合距離と遠赤外やラマンスペクトルとよい相関関係のあることを明らかにできたこれらの結果は、活性中心の金属まわりの情報を得る手段の開発に役立つと考えられる。以上のように、得られた集積型キラル多核錯体の多重キラル中心に起因すると考えられる化学的機能性、および従来にない複合的な物性をそなえた新規物質の開発や多重機能性を有する材料設計のための基礎データの集積などを行うことができた。
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