研究課題/領域番号 |
12023208
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮下 精二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10143372)
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研究分担者 |
斉藤 圭司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 量子スピン系 / 量子ダイナミックス / 不純物誘起磁化 / 光誘起相転移 / スピンパイエルス相転移 / ESR / 比断熱遷移 |
研究概要 |
一次元S=1/2ハイゼンベルグ反強磁性体で格子が変形可能な場合の不純物誘起磁気構造の温度変化を調べ、スピンパイエルス転移の微視的研究を行った。実際に有限温度での格子のゆらぎの成長の様子やゆらぎによる帯磁率の変化を明らかにした。また、開放端を持つ系での誘起磁気構造も明らかにした。さらに、S=1の系でのスピンパイエルス転移が一次転移を示し、ハルデーン・ダイマー間のドメイン壁構造など新しい状態を明らかにした。図にこのドメイン壁構でのボンドの変位とハルデーンの指標であるストリング秩序変数を示す。右側ではボンドが一様でハルデーン状態にあるのに対し、左側ではボンドが交代的に変化しスピンパイエルス状態になっていることがわかる。また、ボンドの交代性によってダイマー化したハイゼンベルグ反強磁性体での不純物誘起磁気構造は不純物の周りに局在して、それぞれ独立なS=1/2のスピンのように振舞うが、その状態に時間変化する外磁場をかけた場合のダイナミックスを調べ、その操作性を研究した。分子磁性体の量子ダイナミックスに関しては、特に散逸効果を調べ、実験の定量的な解析が可能になるようにする。Mn_<12>やFe_8では非断熱遷移の場合のエネルギーギャップが非常に小さく解析が困難な点が多かったが、逐次的な非断熱遷移の結果単純な指数関数でない緩和が生じることを明らかにし、対応する実験との対応を調べた。また、最近進んでいるV_<15>などエネルギーギャップが大きな分子での掃引磁場下での磁化の運動を解析し「磁気的フェーン現象」の考え方を導入した。また、ギャップが小さい場合には、逐次的な非断熱遷移の結果単純な指数関数でない緩和が生じることを明らかにし、対応する実験との対応を調べた。量子ゆらぎが強い系でのESRに関しては、ダイナミカルシフトの相互作用のタイプへの依存性や外磁場の強さへの依存性、系と外磁場の幾何学的関係を、吸収線に対応する複素帯磁率を久保公式で直接数値的に求める方法を開発し詳しく調べた。また、反強磁性共鳴におけるゆらぎの効果も明らかにした。光照射による局所磁化誘起過程や、誘起された磁化の緩和過程を取り入れたスピンダイナミックスモデルを用い、光によるハイスピン、ロースピンの遷移の強さによって、系全体が準安定から安定状態の遷移だけでなく、一見熱力学的に許されない安定から準安定へのスイッチングも可能であることを平均場近似、モンテカルロ法の両面から明らかにした。
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