研究課題/領域番号 |
12023210
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 和仁 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)
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研究分担者 |
荘 金鐘 (財)神奈川科学技術アカデミー, 光科学重点研究室, 研究員 (50312301)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 分子磁性 / オクタシアノ錯体 / 強磁性体 / 結晶構造 / 光磁性 / 相転移 / スピンガラス |
研究概要 |
我々は最近オクタシアノ錯体[M(CN)_S]^<n->(M=Mo,W)をの構造的多様性と柔軟性に着目して構築素子として一連の強磁性体ボリマー、スピンクラスターの創製に成功した。本研究では初めて前者を単結晶として単離することに成功し、また一次元ポリマーの合成にも成功した。 [Mn^<II>_6(H_2O)_9{W^V(CN)_8}_4・13H_2O]_n(1)のX線構造解析より、結晶はW^V-CN-Mn^<II>が三次元的につながったネットワーク[{Mn^<II>(H_2O)}_3{Mn^<II>(H_2O)_2}_3{W^V(CN)_8}_4]_nと溶媒の水分子からなることがわかった。Mnはすべて八面体六配位で、Mn1〜Mn3では(NC)_5(OH_2),Mn4〜Mn6では(NC)_4(OH_2)_2の配位環境となっている。一方、W1はdodecahedronで六つのCNで架橋配位するのに対して、残りの三つのWはbicapped trigonal prismで七つのCN基で架橋配位している。磁気測定より1は相転移温度Tc=54Kのフェリ磁性体であることがわかった。 [NiL_2]_<0.5n>[LNi(NC)_3W(CN)_5]_n・3nH_2O(L=2,6-pyridinedimethanol)(2)の構造解析より、結晶は[NiL_2]^<2+>カチオン、[LNi^<II>(NC)_3W^V(CN)_5]_n^<n->ポリマーアニオン、及び溶媒の水分子からなることがわかった。ポリマーアニオンにおいては、二つのNi^<II>と二つのW^V原子が架橋CN基を通して菱形状に繋がっており、それを基本ユニットとして梯子状一次元構造を形成している。Wは八配位であり、八つのCN基の中の三つはNiに架橋配位している。Niはすべて八面体六配位である。磁気測定より2はT_cが約6Kのフェロ磁性体であり、スピンガラス的性質をも持っていることがわかった。 以上の結果から[M(CN)_S]^<n->の構造的柔軟性がポリマーにおいても保たれていることがわかり、こうした性質が外場誘起特性の変化に重要な役割を果たしていると考えられる。
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