研究概要 |
光捕集アンテナ系モデルとして,ピリジルポルフィナト亜鉛の自己集積系を構築し,これに酸化還元活性で,酸化還元電位傾斜をもつ三核ルテニウム錯体のピラジン架橋多量体の合成,導入を計り,光電荷分離の実現を目ざした. 1.当研究室で開発した5-(4-ピリジル)-10,15,20-トリフェニルポルフィンH_2Pおよび5,15-ジ(4-ピリジル)-10,20-ジフェニルポルフィンH_2P'の合成,分離法をさらに改良して,両者を大量調製した. 2.H_2Pをオキソアセタト三ルテニウムRu_3(μ_3-O)(μ-CH_3COO)_6L_3(以下,RUL_3と略記)の2体に導入して,[(H_2P)(CO)RU_<pz>RU(NO)_<py>]PF_6(pz=ピラジン,py=ピリジン)を合成し,可視光(>650nm)による脱ニトロシルを見出した. 3.H_2P'の一方のピリジル基にメチル基(1a^+)およびRU_<py2>(1b^+),RU(CO)_<py>(1c),RU(CNXy)_2(1d,CNXy=2,6-ジメチルフェニルイソシアニド)を導入した4種のピリジルポルフィン誘導体を合成した.1a^+および1b^+の亜鉛錯体におけるピリジル基の亜鉛への軸配位に基づく自己集積体の形成能は,ZnPに比して,小さい事が判明し,電荷の影響と推定した.1c,1dをも含めて,環状4量体合成を試行中である. 4.2種の三ルテニウム3量体[(pz)(py)RU_<pz>RU(py)(pz)RU(py)(pz)]^<3+>および[(NO)(py)RU_<pz>RU(py)(pz)RU(py)(CH_3OH)]^<3+>を逐次的に新規合成した.これらを直結させた直鎖状6量体の生成を確認し,高度希釈下における光脱ニトロシルによる環状6量体の合成を試みている.
|