| 研究概要 |
本研究では,ゲノム重複によって形成されたと想定されるパラロガス領域の典型例と考えられるMHC(Major Histocompatibility Complex)パラロガス・グループに焦点を当てることにより,パラロガス領域を形成した重複の性質,回数,時期を解明することを目的とした.
1.MHCパラロガス・グループを構成する新規ヒト遺伝子群の同定
1)HLA領域に存在する全遺伝子の約3〜4分の1に相当すると考えられる37個の遺伝子がHLAとパラロガスな領域(9q33-q34,19p13.1-13.3,1q21-q25/p11-p32)のいずれかにコピーをもっていること(ただし,直列重複で生じた遺伝子を一つと数える),2)HLA領域内にはコピーをもたないが,9q33-q34,19p13.1-13.3,1q21-q25/p11-p32領域間でパラロガスなコピーを共有する遺伝子群が少なくとも50個存在することを示した.
2.メクラウナギのゲノムに存在するMHCパラロガス領域数の同定
MHCパラロガス・グループのメンバーである5個の遺伝子族をメクラウナギからクローニングした.これらの遺伝子族の大部分において2-3コピーのパラロガスコピーを同定することが可能であった.したがって,無顎類が誕生する前の段階ですでに一回のゲノム重複が起こった可能性が高いことが示唆された.最終的には,ゲノム・レベルでのクローニングを行うことによって,無顎類のゲノムに何個のMHCパラロガス領域が存在するかを確定することが可能となる.そのため,現在,メクラウナギ由来のBACライブラリーの作製を行っている.
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