研究課題/領域番号 |
12024226
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
池村 淑道 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (50025475)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | ヒト染色体バンド / S期内複製時期 / ヒト21番染色体 / 複製タイミング地図 / 家族性アルツファイマー病 / 複製時期の転換部位 / 病因遺伝子 / ガン関係遺伝子 |
研究概要 |
全配列が決定されたヒト21番染色体長腕の全域と、ヒト11番染色体の長腕の全域を対象に、詳細な複製時期地図をゲノム配列レベルで作成した。21番染色体については公表された完全ゲノム配列をもとにPCRプライマーを作成し、11番染色体については理研グループがBACの選別に用いたSTSマーカーを中心に、複製時期の測定を行った。染色体11qおよび21qの両方において、S期前半と後半の複製領域がRとGバンド領域に対応することが判明し、複製時期がS期前半から後半に明瞭に転換している領域を約30箇所、塩基配列レベルで特定できた。また、GC含量の区分境界と複製時期の転換部位とが密接に関係することも明らかになり、これらの転換部位をバンド境界の構造上ならびに機能上の要件を満たす部位として塩基配列レベルで特定した。GC%の区分的分布と複製時期との一般的な関係からずれる箇所を、少数ながら見い出したが、その例外的な部位はセントロメアやテロメアの近傍に集中していた。これらの領域の持つ複製時期への遅延効果と考えられる。S期の早い時期に複製する領域ほど遺伝子密度が高いことも明らかになった。上記の解析を行う過程で、S期前半から後半への複製時期の転換部位には病因遺伝子、特に脳神経疾患遺伝子および癌関係遺伝子が集中して存在するとの予想外の知見を得た。複製時期の転換領域では、DNA複製フォークの進行が休止する可能性が指摘されており、組み換え頻度が上昇していると予想されてきた。染色体転座や遺伝子増幅と関係した癌関係遺伝子がこの領域に局在することと関係すると考えられる。バンド領域は複製時期と関係するだけではなく、クロマチン構造の粗密度と関係することも知られている。従って、染色体バンド境界においてはクロマチン構造の粗密度が転換している可能性が考えられる。
|