研究課題/領域番号 |
12025221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
鹿内 利治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70273852)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 葉緑体形質転換 / 遺伝子破壊 / ATP依存的プロテアーゼ / Clpプロテアーゼ / 葉緑体分化 / 葉緑体 / Nicotiana tabacum / 柵状細胞 |
研究概要 |
タバコ葉緑体ゲノムにコードされるclpPは、ATP依存型プロテアーゼClpの活性サブユニットをコードする。clpPは生存に必須な遺伝子で、完全な遺伝子破壊による機能解析は困難であった。これまでに、葉緑体移行シグナルを繋いだclpPを35Sプロモーターで発現させるコンストラクトを核ゲノムに導入したラインを得ている。35SプロモーターによるclpPの大量発現は、いかなる表現型ももたらさなかった。そこでこれらのラインに対し葉緑体形質転換を行い、葉緑体clpPの破壊を行った。これらのラインでは、葉緑体clpPの機能が核ゲノムに導入した遺伝子で相補され、完全な遺伝子破壊が可能であった。しかしその相補は不完全であり、完全破壊株は、斑入り、葉の構造の著しい異常といった強い表現型を示した。また葉の白い部分では、柵状組織の分化が阻害されており、葉緑体と葉の組織分化がともに強く影響を受けていることが明らかになった。これらの表現型は、スペクチノマイシンを除いても安定で、不完全な破壊株での抗生物質の表現型への影響という懸念されていた問題が解決した。 35SプロモータによるclpPの強制発現に関わらず、葉緑体clpPの機能が完全に相補されなかった理由として、ClpPが細胞質で翻訳を受けることによるシャペロンの欠損等の質的問題、35Sプロモーターと葉緑体clpPプロモータの差による発現組織、発現量の違いの問題が考えられる。生化学的手法により葉緑体内のプロテアーゼ複合体の量を評価する必要がある。 完全破壊株はメリステムそのものにも異常を示すため、シュートの成長が頻繁に停止し、多数の側芽を生じるブッシュ状の植物になる。非常に稀に花芽がつくことがわかり、野生型花粉をかけることによって、次世代で、核遺伝子も落ちた真の完全破壊株の表現型が見られる可能性が出てきた。
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