研究課題/領域番号 |
12026218
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
別所 康全 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (70261253)
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研究分担者 |
冨田 江一 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (80314285)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 神経発生 / 神経分化 / 神経細胞 / グリア細胞 / 神経前駆細胞 / 転写因子 / ノックアウトマウス / 網膜器官培養 |
研究概要 |
哺乳動物の神経系は多様な神経細胞とグリア細胞から構成される。その発生分化の初期の段階では、神経前駆細胞が未分化の状態を維持して分裂を繰り返し、必要な細胞数を確保するステップと神経前駆細胞が適切なタイミングで分裂を終了し、神経細胞あるいはグリア細胞に分化するステップが想定される。今年度の研究では特に神経前駆細胞からグリア細胞に分化するステップに焦点をしぼって、網膜をモデル系として研究した。 1)Hes因子間で構造的に保存されているbHLH領域の構造的類似性をもとに、相互に高い相同性のある3種類の新規の抑制性転写因子Hesr1、2、3を得た。 2)3種類のHesr遺伝子はすべて発達段階の網膜に発現していたが、それぞれの発現パターンは異なっていた。Hesr2のみがミュラーグリアの位置と一致した場所に発現していた。 3)3種類のHesr因子の神経分化における活性を調べるために網膜器官培養を用いた強制発現実験をレトロウイルスベクターを使って行った。3つの因子のうちHesr2を強制発現した細胞の多くがミュラーグリアに分化した。これよりHesr2が前駆細胞をグリア細胞に分化させる活性をもっことが明らかにされた。 発現パターンを考え併せると、生体においてもHesr2はミュラーグリア細胞の分化を制御していると考えられる。また我々は促進性の転写因子Math3とMash1のダブルノックアウトマウスにおいて、神経細胞の分化抑制とダリア細胞の分化促進を観察している。Hesなどの抑制性転写因子が促進性転写因子を抑制していることはよく知られており、これらの結果は今回の結果とよく一致する。すなわち前駆細胞から神経細胞あるいはグリア細胞への分化は促進性転写因子と抑制性転写因子のバランスで制御されていることが強く示唆された。
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