研究課題/領域番号 |
12026228
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 助手 (50274064)
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研究分担者 |
菊池 章 広島大学, 医学部, 教授 (10204827)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | GSK-3β / Axin / β-カテニン / APC / Idax / Dvl / Duplin / Axam |
研究概要 |
Wntを介するシグナルは、細胞膜上の受容体Frizzledから細胞内のDvl、GSK-3β、Axin、β-catenin、TCFへと伝達され、標的遺伝子の発現を介して細胞の増殖や分化、初期胚発生時の体軸形成等の細胞機能を制御する。GSK-3β結合蛋白質Axinはβ-cateninや、がん抑制遺伝子産物APC、Dvlと複合体を形成して、GSK-3βによるβ-cateninのリン酸化と分解を促進する。今年度はDvlやAxin、β-cateninと結合する新規蛋白質を各々1種類づつ見出した。新規Dvl結合蛋白質Idaxは、DvlとAxinの結合を阻害して、マウスL細胞で発現させるとWntシグナル依存性のβ-カテニンの蓄積やTCF転写活性の亢進が抑制された。アフリカツメガエル初期胚にIdaxを導入すると頭部形成が抑制された。Idaxは、WntやDvl依存性の二次体軸形成を抑制したが、β-カテニン依存性の二次体軸形成は抑制しなかった。したがって、IdaxはDvlの下流でWntのシグナルを抑制することが明らかとなった。新規Axin結合蛋白質Axamは、AxinとDvlの結合を阻害して、DvlによるGSK-3β依存性のAxinのリン酸化を抑制した。大腸癌細胞にAxamを発現させると細胞内β-cateninが分解した。したがって、AxamはDvlとβ-cateninの間のレベルに作用してWntシグナルを抑制する機能をしめすことが明らかとなった。新規β-カテニン結合蛋白質Duplinは、β-cateninと直接結合してβ-カテニンとTCFの複合体形成を抑制することにより遺伝子発現を抑制した。アフリカツメガエル初期胚にDuplinを導入すると頭部形成が抑制され、標的遺伝子siamoisの発現が抑制された。さらに、Duplinは、Wntやβ-カテニン依存性の二次体軸形成を抑制したので、Duplinはβ-カテニンの下流でWntシグナルを抑制的に制御することが明らかとなった。したがって、今年度はWntシグナル伝達経路を負に制御する新規蛋白質を複数単離し、その体軸形成における機能を解明したので、本研究の主要課題は達成されたと考えられる。
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