研究課題/領域番号 |
12030216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鷲津 正夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10201162)
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研究分担者 |
加畑 博幸 京都大学, 工学研究科, 助手 (70293884)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 転写 / 3体複合体 / DNA結合 / プロモーター認識 / 運動 / ポリメラーゼ / 蛍光標識 / 可視化 |
研究概要 |
T7ファージ由来RNAポリメラーゼ(T7RPase)1分子のDNA上における転写運動を蛍光顕微鏡下で実時間で同定できる方法の開発を行ない、転写の分子モーター機構の解明を試みた。 T7RPaseを蛍光顕微鏡で可視化するために、蛍光物質TRITCを10分子導入したAvidinタンパク質を、あらかじめ複数のBiotin残基を導入したT7RPaseへに結合させることによって、観察に十分な量の蛍光強度をT7RPaseに付与した。 DNAにはT7RPaseに対するプロモーターを持つT7ΔD111DNAを用意した。DNA分子をフローティングポテンシャル電極の電極間で誘電力により伸長させてDNA末端を電極端に固定させた。この伸長固定化DNAは、T7RPase分子やRNA基質の溶液の注入および吸引が容易になるように工夫したフローチャンバー内に配置した。 転写時におけるT7RPaseの挙動を観察すると、DNA上で静止する分子と、運動する分子が観察された。この運動は1)溶液の流れによって流れ去る「ドリフト」、2)電極付近でゆらぎ運動する「テザード」、3)溶液の流れと垂直なDNAの伸長方向に振動様に運動する「マーチング」の3つのモードに分類された。マーチングはRNA基質が存在しない場合には観察されなかったことから、転写に伴った運動であると考えられる。これはDNAから解離したT7RPase分子が、近傍に密に配置されたDNA分子と再度結合し、そこで転写を繰りかえしたためだと考えられる。一方、転写運動をする様子が見られない分子は、moribund complexやslippage complexを形成した分子、あるいは転写が進行することによって転写進行方向のDNAの螺旋密度が増加し前進することができなくなった分子、だと考えられる。
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