研究課題/領域番号 |
12030219
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太和田 勝久 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20029507)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 分子モーター / ミオシン / 滑り運動 / 揺らぎ / 滑り距離 / 独立作用 / アクチン |
研究概要 |
骨格筋内では、一本のアクチン繊維に多数のミオシン頭部が作用して、アクチンの滑り運動を起こしている。このとき、これらのミオシン頭部は互いに独立に作用を及ぼしているのだろうか?この独立作用(の仮定)を検証するには、in vitro motility assay法を用いて、アクチン繊維の滑り距離の揺らぎを測り、その揺らぎのアクチン繊維長依存性を解析すればよい。独立作用が成り立てば、滑り距離揺らぎはアクチン長に逆比例する。この逆比例依存性は中心極限定理の一般的な帰結であるが、in vitro motility assay系の具体的モデルを用いて、この逆比例依存性を理論的に示した(Sekimoto & Tawada,2001)。実際の実験においては、ミオシン頭部の向きのそろった実験系として二枚貝の平滑筋から調製した長い(数十μ)ミオシン繊維を用いる。そして、この独立作用の仮定を検証する実験を過去数年にわたって行っている。それらの結果、滑り距離揺らぎはアクチン繊維長に依存せず、ほぼ一定の値をとった。これより、上記の独立作用の仮定が成立していない、つまり、一本のアクチン繊維に作用してその滑り運動を起こしている複数個のミオシン頭部の間には共同作用が働いていることが示唆されている。この共同作用の機構を解明する手がかりを得るために、滑り速度の異なるミオシンを用いて、滑り距離揺らぎと滑り速度の間の関係を実験的に解析することを始めた。そのために、まず、ムラサキインコガイとムラサキイガイのミオシン繊維を用いて比較研究を行った。それらのミオシンでは滑り速度が数倍異なる、それに対応して滑り距離揺らぎの大きさも同じ程度異なることが分かった。異なる速度の他のミオシンを用いてさらに詳細な比較解析を行うために、ムラサキインコガイの筋肉から、長い繊維を作るキャッチンを精製して、それと任意のミオシンとの共重合繊維を作る方法を確立した。この方法を利用して、ウサギなど他の動物由来の(速度の異なる)ミオシンとの共重合体を作り、揺らぎ解析を行おうとしている。
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