研究課題/領域番号 |
12031206
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
武井 延之 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (70221372)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | PACAP / アポトーシス / DNAアレイ / 大脳皮質ニューロン / Bcl-X / Bad |
研究概要 |
Pituitary adenylate cyclase-activating poly peptide(PACAP)はvasoactive intestinal peptide(VIP)ファミリーに属する神経ペプチドで、下垂体のアデニル酸シクラーゼを活性化する因子として、視床下部から単離精製されたものである。PACAPは神経ペプチドとしての神経伝達に対する作用だけではなく神経栄養作用をもつことが知られるようになってきた。我々はPACAPが中脳ドーパミン作働性ニューロン(1)、前脳基底野コリン作働性ニューロン(2)、大脳皮質ニューロン(3)に対して神経栄養作用、神経保護作用があることを見い出し報告しているが、本研究ではニューロンがPACAPの投与により細胞死に対し抵抗性を獲得することを明らかにした。そこで次にその分子基盤として、PACPAによりどのような遺伝子の発現が変化しているのかを調べた。 ラット胎児から調整した大脳皮質ニューロンをPACAP存在/非存在下で5日間培養し、アポトーシスを誘導するイオノマイシン(カルシウムイオノフォア)を添加し18時間後に細胞数を計数した。PACAP非添加群では大幅な細胞死が認められたのに対し、PACAP添加群では細胞死に対する抵抗性が観察された。同様の条件で培養した大脳皮質ニューロンからmRNAを抽出し、polyARNAに精製したのち、^<33>P-CTPで放射ラベルしてクロンテック社のDNAマクロアレイにhybridizeした。メンブレンを洗った後イメージアナライザーで解析した。1024の遺伝子中1.5倍以上の増減を示すものは122個であった。このなかからアポトーシスに関連がするものについて、RT-PCRによる確認を行った。RT-PCRのサンプルには個別の培養からサンプルを調整し、n=3_4とした。その結果PACAPの添加により抗アポトーシス分子であるBcl-XLの発現が2倍以上に増加し、アポトーシス促進分子であるBadの発現は50%以下に減少していた。 以上の結果はPACAPの投与により、アポトーシス関連分子の発現調節がおこり、ニューロンでの抗アポトーシス作用が増強され、その結果とし神経細胞死に対する抵抗性が高まることを示唆している。
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