研究課題/領域番号 |
12031226
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
麻生 定光 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (70167914)
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研究分担者 |
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | α-ケトグルタル酸脱水素酵素 / 酸化ストレス / ジヒドロリポアミド・サクシニル転移酵素 / アルツハイマー / Maxizyme / 過酸化水素 |
研究概要 |
ジヒドロリポアミド・サクシニル転移酵素(DLST)はミトコンドリアに存在するクエン酸回路の律速酵素α-ケトグルタル酸脱水素酵素複合体の構造的中核をなす構成成分のひとつである。アルツハイマー病(AD)ではα-ケトグルタル酸脱水素酵素の活性が低下していることが報告されている。我々はこれまでにDLST遺伝子の17個の多型部位を見い出し、その中でエキソン8、イントロン11、イントロン13、エキソン14でAD患者に頻度高く出現する塩基置換を報告した。これらの塩基置換はアミノ酸の変化を伴わない。ラットの骨格筋細胞と肝臓およびヒトHeLa細胞のミトコンドリア画分から抗DLST抗体によって正常DLSTより分子量の小さいsmall DLST(sDLST)を検出し、sDLSTはイントロン7から転写されエキソン8の最初のATGから翻訳され、その翻訳フレームはDLSTと同じであった。AD患者の脳では健常人にくらべsDLSTの発現量が約1/3に減少していた。我々はsDLSTの生化学的機能について検討した。培養細胞のsDLSTの発現を抑制させるために、RNA制限酵素として働くMaxizymeを利用した。Maxizymeはヘテロ2量体として機能する小型リボザイムで、二つの部位のそれぞれが基質mRNAと塩基配列特異的に結合し切断する。標的sDLSTのmRNAは5′端にイントロン7の塩基配列を持っている。sDLSTのイントロン7とイントロン7/エキソン8のjunctionを認識し、切断するMaxizymeを作製した。ヒト神経芽細胞腫にMaxizymeのcDNAを導入し、その発現により、sDLSTの発現がmRNAレベルで1/100程度に減少した細胞を得た。酸化ストレスとして過酸化水素でMaxizyme導入株を処理したところ、親株にくらべに感受性であった。AD患者脳で減少しているsDLSTは神経細胞の酸化ストレスに対する耐性を促していることが示唆され、DLST遺伝子の多型部位の塩基置換がその発現を調節している可能性が考えられた。
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