研究課題/領域番号 |
12031228
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
桃井 隆 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第5部, 室長 (40143507)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | トリプレットリピート / CAG / ボリグルタミン / カスパーゼ / アポトーシス / 細胞死 / ハンチントン舞踏病 / DRPLA |
研究概要 |
CAGトリプレットリピートの伸張を原因とするハンチントン舞踏病、DRPLAなどの神経変性疾患では核内でのポリグルタミンの蓄積が観察される。伸長したポリグルタミンを細胞に発現させると細胞質内、核周辺部、および核内にポリグルタミンの凝集が生じ、細胞死をひき起こすことから、ポリグルタミンの凝集と神経細胞死との関係が問題となっている。一方、カスパーゼは線虫から哺乳類まで保存されており、細胞死を実行する分子として、現在までに12種類知られている。カスパーゼはそのメンバーにより逐次プロセッシングされるカスパーゼカスケードより活性化され、最終的にカスパーゼ3が活性化され、細胞死が誘導されると考えられている。中でも、カスパーゼ8と9はカスパーゼ3の上流に位置し、蛋白相互作用によるオリゴメリゼーションにより活性化されることが知られている。最近、Yuanらのグループがポリグルタミンがカスパーゼ8と細胞質や核内で共凝集し、活性化し、細胞死を引き起すことを報告している。われわれは、これまでカスパーゼ3と9の活性型のみを特異的に認識する抗体を作成し、細胞死におけるこれらカスパーゼの活性化を免疫染色法により観察してきた。本研究ではカスパーゼ3、8、9およびICADが伸長ポリグルタミンによりどこでどのように活性化されるかを調べる目的で、新たにカスパーゼ8の活性型を特異的に認識する抗体およびICADの切断点に対する抗体を作成し、細胞内での活性化と細胞死との関係をEGFPを付加したポリグルタミンと抗体あるいはTUNELとの二重染色法により解析した。(結果)P19EC細胞ではポリグルタミンの核内凝集が高頻度でおこり、TUNEL陽性および形態的なアポトーシス像を誘導した。ポリグルタミンの核内凝集と一致してカスパーゼ3、8の活性型の凝集が観察されたが、カスパーゼ9の活性化および活性型断片の凝集は観察されなかった。また、ICAD切断陽性の細胞も観察されるが、カスパーゼ阻害剤であるz-VADにより著しく抑制された。しかし、クロマチン凝集などのアポトーシス像は部分的にしか抑制されなかった。以上の事から核内ポリグルタミン凝集によるカスパーゼ3、8の活性化はICADおよびDNA断片化に必要であるが、形態的な細胞死にはカスパーゼ以外の経路が考えられた。
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