研究課題/領域番号 |
12032212
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中西 真人 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10172355)
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研究分担者 |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学部, 教授 (00098485)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 遺伝子導入 / 遺伝子発現 / Tatタンパク質 / ラムダファージ / Caveolae / 非ウイルスベクター |
研究概要 |
1999年秋、肝特異的酵素の補充のためのアデノウイルスベクターの投与を受けた患者が死亡する事件が起き、その後の調査で多くの臨床試験で副作用による死亡例があった疑いが浮上したため、組換えウイルスを使った遺伝子導入に替わり得る安全性の高い非ウイルスベクターの開発が再び注目を集めている。本研究では、DNA/polymer complexのモデルとしてラムダファージを使って、さまざまな生物学的シグナルの遺伝子導入への応用を検討した。 本年度は、細胞膜を通過する活性を持つことが知られているヒト免疫不全ウイルス(HIV)の転写因子Tat由来のペプチドを提示した組換えファージを作成し、その活性を調べた。対象として使った細胞表面のインテグリンに結合するRGD-Phageではマーカー遺伝子の発現はほとんど検出できなかったが、Tat-Phageでは陽荷電リポソームとほぼ同等のマーカー遺伝子の発現を得ることができた。また、Tat-Phageによる遺伝子導入は血清によって阻害されず(むしろ促進される)、マウスの肝臓にin vivoで直接遺伝子を導入することもできた。また、阻害剤を使った実験から、Tat-Phageはエンドゾームを介した取り込み経路に依存せず、Caveolaeを介して細胞内に移行するユニークな系であることも示唆された。 Tat Phageによる遺伝子導入の効率はほぼSV40に匹敵し、ウイルスに頼らない遺伝子導入法の中では最も効率がよいものの一つである。また内部のDNAはタンパク質でできた殻によって完全に保護され、血清の存在下でも効率よく遺伝子導入できることはin vivoでの応用が可能であることを示している。この結果は、Tat peptideが人工的な合成ポリマーを使った遺伝子導入系の開発にも有効であることを示している。
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