研究課題/領域番号 |
12033207
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松浦 成昭 大阪大学, 医学部, 教授 (70190402)
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研究分担者 |
遠山 正弥 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028593)
稲垣 忍 大阪大学, 医学部, 教授 (90151571)
河口 直正 大阪大学, 医学部, 助手 (70224748)
東山 繁樹 大阪大学, 医学部, 助教授 (60202272)
鈴木 信太郎 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所, 部長 (20128432)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 接着分子 / インテグリン / カドヘリン / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 癌の転移 |
研究概要 |
糖転移酵素の中でN-glycanにGlcNAcをβ1-4結合でbisectingの形で付加するβ1,4-N-acetylglucosaminyltransferase III(GnT-III)を種々の癌細胞に遺伝子導入した。細胞形態の著明な変化およびEGF刺激後のβカテニンの局在の変化を認めたが、糖鎖付加によりβカテニンのチロシンリン酸化が低下したためであった。活性化c-srcの遺伝子導入によるβカテニンのチロシンリン酸化も低下していた。ツニカマイシン処理でこれらの変化がすべて消失したことから、E-カドヘリン・βカテニン複合体へのbisecting GlcNAcの付加で細胞内の情報伝達が抑制され、細胞の運動性や癌転移の阻害に働くことが示唆された。 N-glycanにGlcNAcをβ1-6結合で付加するGnT-Vの種々の癌組織における発現を免疫組織化学的に検討した。正常組織ではGnT-Vの発現はほとんど見られないが、多くの癌組織や前癌病変、さらに炎症反応や再生性変化の激しい部位でGnT-Vが強く認められた。肝癌症例ではGnT-V高発現群で有意に良好な予後を示した。正常肝組織にはGnT-Vは認められず、肝炎、肝硬変と進行するに連れて、発現が亢進し、高分化〜中分化型肝細胞癌で最も高い発現を示し、低分化型肝細胞癌で減弱することから、GnT-Vは肝癌発癌の初期の過程に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 N-glycanのGlcNAcにフコースを付加するα1-6 fucosyltransferase(α1-6FucT)を肝癌細胞へ遺伝子導入して、転移における意義を検討した。α1-6FucTを発現した肝癌細胞株はマウス脾内注射による肝転移実験で、有意に転移の抑制が見られた。マウス肝細胞およびフィブロネクチンへの接着性が低下しており、インテグリンα5β1分子のα1-6フコシル化が著明であるためと考えられた。 以上より、接着分子は糖鎖の修飾を受けることにより、機能が調節されていることが明らかにされた。
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