研究課題/領域番号 |
12034209
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
楯 真一 北陸先端科学技術大学院大学, 新素材センター, 助教授 (20216998)
|
研究分担者 |
島原 秀登 北陸先端科学技術大学院大学, 新素材センター, 助手 (40313704)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | NMR / HMG-1 / 2 / HMG-I / マジック角試料回転 / 液晶利用NMR |
研究概要 |
1.HMG2Aの立体構造解析 HMG2蛋白質のN末端側HMG-boxであるAドメインの立体構造解析を完了した。サンプルの安定性・溶解性を改善するために徹底的にサンプル溶液の条件を検討した。最終的に0.1M Na_2SO_4の条件で十分な質のNMRデータを得ることができ現在までに定法どおりのNOEと2面角情報に基づいた立体構造解析を終了している。今後は、さらに精密化を進めるために残余双極子効果を利用した精密化を行う予定である。 2.HMG2全長のDNAとの相互作用様式の解析 HMG2の全長は2つのHMG-boxと1つの短いリンカーよりなっている。NMRによる構造解析を行うには、DNAに対する結合能が低すぎるために安定な複合体を形成しないため、NMRによる解析に耐える複合体サンプル調製は困難であった。そこで本研究では、CDによりDNA変形能の解析を行うことに計画を変更した。CDによる解析の結果、HMG-box単独ではDNAをkinkさせるが2つのHMG-box(AおよびB)がリンカーにより結び付けられた全長HMG2ではCDパターンからHMG2全長と相互作用したDNAは、あたかもヌクレオソーム中のDNAのような変形構造を持つことが明らかとなった。このことから、HMG2全長は明らかにHMG-boxとは異なるDNA構造変形能を有し、HMG2全長構造としてはじめてDNAシャペロンとしての機能を発揮する可能性を示した。 3.HMG-I(2/3)とDNA複合体の構造解析 HMG-I(2/3)が結合するDNA(PRDII-NRDI)のNMRシグナル帰属を完了した。また、HMG-I(2/3)-DNA複合体中でのDNAシグナルの帰属も完了し、相互作用部位のminor grooveに特異的なシグナル変化が観測されHMG-Iが認識するDNA側の部位を特定することができた。また、安定同位体標識したHMG-I(2/3)を調製し複合体中での蛋白質側のNMRシグナル帰属のためのデータ集積を完了した。DNAとの相互作用によりアミドプロトンの溶媒との交換が促進される関係で一部帰属が困難な部分があり完全シグナル帰属を完了できていない。複合体調製に関しては安定に行える条件を確立したので、さらにサンプル濃度をあげて完全なシグナル帰属を完了することを目指す。 4.定量的な残余双極子効果観測手法の確立 HMG2Aドメインの構造精密化およびHMG-I(2/3)-DNA複合体構造の精密化を行うために、すでにHMG2Bの精密化で利用した残余双極子効果の利用を計画している。基本的な測定法はすでに確立されているが、特に蛋白質DNA複合体のような複雑な系に適用する場合には液晶分子の共存の有無による微妙な構造変化や化学シフト変化などにより観測される残余双極子効果の定量性を損ねる恐れがある。そこで本年度の研究中ではマジック角試料回転法を溶液試料に適用することで定量性を向上させる方法を確立した。
|