研究代表者は今まで同定されていないHIV複製ステップを阻害する薬剤(Y-664)を発見、報告した。Y-664はAZTとの併用で相乗効果が認められ、治療上問題となる多剤耐性HIVに対しても野生株と同様な効果を示した。また、Y-664は宿主細胞への吸着、進入および逆転写反応を阻害しないが、宿主細胞内でのウイルスDNAの合成を濃度依存的に阻害した。作用機序解明のためY-664に対する耐性HIVをin vitroで誘導し、約4倍の耐性度を示すHIVを分離した。このHIVの複製能は野生株と比べ低下していた。その変異部位をplasmid cloneであるpNL4-3と組み替え、解析したところpolおよびvifをコードする部位が耐性に関与していることが判明し、現在その詳細な解析を行っている。さらに作用機序が未だ解明されていない薬剤を18種同定し、そのうち14種類が宿主細胞への吸着からprovirus組み込みまでに関与していることを明らかとした。この研究で確立した方法を用い、耐性株に対して効果を示す新規核酸誘導体の作用機序を解明したところ、逆転写酵素阻害剤であると同定でき、その結果を論文にまとめることが可能であった。
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