研究課題/領域番号 |
12035213
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田代 啓 京都大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10263097)
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研究分担者 |
高橋 淳 京都大学, 医学研究科, 助手 (10270779)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | エイズ脳症 / HIV / ニューロエイズ / 神経幹細胞 / エイズ / ウイルス受容体 / 感染実験 / productive infection |
研究概要 |
実物の脳や脳細胞のプライマリーカルチャーでは、マクロファージやマイクログリアが存在するため、それよりはるかに感染頻度の低い神経系幹細胞などの細胞の解析は困難である。我々は、京都大学倫理委員会の承認のもと、FGF-2とEGF依存性のヒト中枢神経幹細胞を樹立の最終局面に到達している。我々の分化誘導条件では、ヒト中枢神経幹細胞からは血球系由来のマクロファージとマイクログリアおよび内皮細胞は出現しないため、アストログリアや、諸タイプのニューロンに対するHIVウィルスの感染の動態を解析するのに適している。本研究ではHIV-1はヒト脳由来神経系幹細胞に感染するのか、この実験系の特性を活用してアストログリアへの感染の動態および、分子メカニズムと、諸タイプのニューロンやオリゴデンドログリオサイトへの感染の有無を検討する。 ヒト神経幹細胞(nNSC)およびヒトT cell line(M8166;C8166R5)2X10^4 cells/wellに対し、NL432(X4)およびBAL(R5)102-103 TCID50を感染し、そのまま培養を続け、培養上清中のRT活性を測定することによりproductive infectionの有無を検討した(A)。また別に実験において、より高い量のTCID50(10^3-10^5)を感染させ、2時間後に上清をwashし、以下同様にRT活性を測定した(B)。 今回の結果では、ヒト神経幹細胞に、NL432(X4)、BAL(R5)の感染成立は認められなかった。前回の報告にて、ヒト神経幹細胞におけるCD4、CXCR4、CCR5の発現をRT-PCRにより確認しているが、今回の結果より、これらのレセプターがviral entryの成立を可能にするような細胞表面分布をしているかどうか、すなわち細胞表面レセプター陽性細胞の率と、写真に示すようにヒト神経幹細胞培養に特徴的に認められるneurosphereの形成が感染成立に抑制的に働くかを検討する必要がある。また、その他のアッセイ法により、どのような条件においても感染が本当に成立しないかより慎重な検討が必要である。 今後、上記仮説が確認されれば、神経幹細胞から、分化した脳細胞へ、どの段階から感染が成立するのか、興味深い。また、これらの解析から、neuro AIDSのpathogenesisのみならず、幹細胞を用いた治療の可能性も明らかにされることが期待される。
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