研究概要 |
本研究班に参加し、HIV-1感染のエントリーインヒビターの戦略的、論理的分子設計法について検討を重ねてきた。本研究では、phage display libraryを利用することを基本として基礎的な検討をすすめた。一般論として、受容体かリガンドの立体構造を認識する特異抗体で、かつその分子間の結合を阻害する活性をもつ抗体を用いると、phage libraryから、受容体やリガンドの結合サイトのconformationをコピーしたモチーフを単離できることを、Tリンパ球の負のシグナル分子、CTLA4、HIV-1の感染に関与する膜7回貫通型受容体、CCR5、および最も強い活性を有するケモカイン、MCP-1分子を標的分子として検討し、この方法論が可能であることを明らかにした(Nature biotech.,16:267-270,1998,J.Immunol.,161:6622-6628,1998,Mol.Immunol.36,1249-1254,1999,J.Biochem.in press)。CTLA4についての検討ではF2、およびCCR5ミミックについての検討では、random peptide display libraryを用いた研究からM23、および2D7/m6と呼ぶ機能性モチーフを単離したが、モチーフをペプチド化する過程で進展が見られていないが、MCP-1の検討では、sC27とsG25と呼ぶ2つのペプチドの合成に成功した。しかし受容体に対するアフィニティーに関する検討で、ナチュラルなMCP-1に比較し、非常に低いことが明らかとなり、さらなるaffinity maturationの必要性が示された。
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