研究課題/領域番号 |
12035224
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 真吾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10177446)
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研究分担者 |
杉田 哲佳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00296766)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | HIV-1 / in vivo / PBMC / プロウイルス / 逆転写 / RNA-DNA hybrid / competitive PCR / 抗レトロウイルス療法 |
研究概要 |
ヒト体内におけるHIV-1の標的細胞のほとんどは休止期にある。休止期にある細胞はdNTP poolが小さいために、細胞内に侵入したHIV-1RNAゲノムは逆転写の中間体、すなわちRNA-DNA hybridの状態で存在している可能性が高い。我々は昨年度までの研究で、制限酵素Mse Iによる切断と定量的PCRを併用することによってこのhybridを定量する方法を確立した。本年度は、この方法によるhybridの定量値にHIV-1 ssDNAは含まれないことをまず明らかにし、次にこの方法を用いて、未刺激のPBMCと抗CD3抗体で刺激したPBMCにおけるhybrid形成の速度論を調べた。その結果、未刺激PBMCではhybridが感染1日後にピークを示しその後dsDNAに変化していったが、刺激PBMCでは感染2時間後にhybridが一時的に検出されるだけでdsDNAが主に産生されることが分かった。このことから、感染者のPBMC中のhybrid量は測定時から2、3日以前までに細胞に感染したウイルス量を反映していることが示唆された。次に、14人の長期未発症者を対象に、CD4の値に対するHIV-1 RNA、HIV-1DNA、HIV-1RNA/DNA hybridの各量の関係を、過去2年間における平均値をもとに調べた結果、RNA/DNA hybridのみがCD4値に対して統計的に有意な負の相関があることが分かった。さらに、HAART療法を受けている17人の感染者を対象に、HAART開始後のHIV-1 RNA/DNA hybrid量の変化を調べた。ほとんどの場合、HIV-1 RNA量の変化と平行の関係があったが、HIV-1 RNA量があまり下がらないのにCD4値が上昇した2例においてhybrid量が有意に減少していた。今後、HAARTの治療効果をみる指標としてHIV-1 RNA-DNA hybrid量が有効であるかどうかを統計的に証明する方法を検討する。また、hybridが主に存在するT細胞サブセットを調べることによって、in vivoにおけるHIV-1感染の主要な標的細胞群を明らかにしたい。
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