研究課題/領域番号 |
12035226
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
木村 富紀 関西医科大学, 医学部, 助教授 (40186325)
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研究分担者 |
山本 章嗣 関西医科大学, 医学部, 講師 (30174775)
西川 正雄 関西医科大学, 医学部, 助手 (40218136)
藤澤 順一 関西医科大学, 医学部, 教授 (40181341)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | HIV-1 / Rev / 核外輸送 / gag mRNA / CRM1 / GTPγS / Luciferase |
研究概要 |
イントロン陽性のHIV-1構造遺伝子mRNAの核外輸送に、Revの核外輸送シグナル依存的なRan-CRM1との複合体形成及び核内Fアクチンが関与する事を報告した。このgag mRNA-Rev-CRM1/Ran輸送複合体のアクチンを介した核外輸送分子機作の検討を目的とし、培養細胞核へのHIV-1レポーターDNAの顕微注入により、転写されたgag mRNAのRev依存性核外輸送が観察可能な系を確立した。本実験系を用いアクチンを介するgag mRNA核外輸送におけるエネルギー必要性の有無を検討する目的で、非加水分解性GTP analogueのGTPγSを注入したところ、gag mRNAの核外輸送抑制が観察された。FISH法を用い輸送抑制されたgag mRNAの核内局在を観察したところ、大部分は核膜孔(NPC)に到らず核質にび漫性に分布した。これらの結果は、GTPγSに対し感受性を示すのはNPC通過の過程ではなく、輸送複合体形成或いは輸送複合体がNPCに到る核質内輸送過程である事を強く示唆する。そこで両者を鑑別する目的で、レポーター発現プラスミドを導入した細胞核抽出液を用い、GTP或いはGTPγS存在下にRevを免疫沈降したところ、GTPの投与量依存性にCRM1と構造遺伝子mRNAの共沈が認められると共に、これらの共沈はGTPγS処理核抽出液において投与量依存性に阻害される事が観察された。以上の結果から、gag mRNAの核外輸送に際し輸送複合体の形成過程にGTPの加水分解を必要とするか或いはGTPγSが阻害する反応過程が存在し、この過程の阻害によりgag mRNA核外輸送抑制が生じる事が考えられた。Revによる細胞輸送因子の認識にRanを介してGTPが必要となる事はこれ迄報告されているが、上記の結果はmRNAとの複合体形成にあたってもGTPが肝要である事を示しており、RevによるmRNA核外輸送にあたってその認識過程にRanの新しい機能或いは他の核内G蛋白の関与の可能性が考えられた。 その他、アクチンを介するウイルスmRNA核外輸送機構が、他のRNA分子の輸送に用いられる可能性を検討した。その結果、Revの共発現によりイントロンレスのFire fly luciferase mRNAの核外輸送が阻害される事を見い出し、Rev-gag mRNA複合体輸送の場合と同様、luciferase mRNAの核外輸送にあたってCRM1,GTP結合型Ran及び核内アクチンの関与を示した。これまで、mRNAの輸送にCRM1は機能しないと考えられており、この報告がその関与を認めた初めての例となる。
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