研究概要 |
アレルギー炎症において中心的役割を果たす好酸球の分化様式の詳細は不明である。申請者らは好酸球に特異的に発現するヒトIL-5Rα遺伝子のプロモーター活性を担う重要なエンハンサー領域に、転写因子であるRFX1,RPX2,RFX3が二量体を形成して結合することを見い出した。本研究では、RFXの機能を解析するために、まず、RFX1のDNA結合ドメインとホメオボックス遺伝子のひとつであるengrailedの転写抑制ドメインのキメラ蛋白を作成し、このキメラ蛋白がRFXの認識する塩基配列に結合しドミナントネガティブ型として有効に機能することを確認した。RFX1,RFX2,RFX3はホモあるいはヘテロ二量体を形成して同一の塩基配列に結合するが、このキメラ蛋白の利点はRFX1,RFX2,RFX3の機能を同時に阻害することができることにある。またRFX1のDNA結合ドメインとVP16の転写活性化ドメインのキメラ蛋白も作成し、このキメラ遺伝子が恒常的活性型RFXとして機能することも確認した。これらのキメラ遺伝子をレトロウイルスの系を用いて血液前駆細胞に導入し、in vitroの培養系においてIL-5Rαの発現が抑制されて好酸球の産生がおさえられるかどうかを検討する予定である。またRFXの好酸球特異的なコファクターを同定するために、RFX1に会合する分子をyeast two hybridを用いて検索中である。これまでに新規遺伝子を含む複数の遺伝子が同定されつつあり、これらの遺伝子のRFXの転写活性における関与を検討していく予定である。
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