研究課題/領域番号 |
12036219
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
花園 豊 自治医科大学, 医学部, 講師 (70251246)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 造血幹細胞 / 遺伝子治療 / 選択的増幅遺伝子 / レトロウイルスベクター / カニクイザル / 霊長類モデル |
研究概要 |
平成12年度は、カニクイザル造血幹細胞の自家移植の系を用いて、選択的増幅遺伝子の有用性を調べた。カニクイザル5頭から骨髄血CD34^+細胞を採取し、これらの細胞に対して4日間にわたってレトロウイルスベクターで遺伝子導入を行った。遺伝子導入細胞は、全身放射線照射(500cGy×2)によって骨髄を廃絶したサルに自家移植した。最初のサル(メス)では、移植後、血清中の内因性エストロゲンに反応して40%前後の造血前駆細胞(CFU-C)にプロウイルスが検出された。しかし移植半年後、プロウイルスをもつCFU-Cは5%まで低下した。そこでこのサルにエストロゲンの投与を開始した。その結果、外因性のエストロゲンに反応してプロウイルスをもつCFU-Cが再び増加し、約30%になった。また末梢血中の遺伝子導入細胞も10倍前後の増加(<0.1%から1%)が観察された。次の4頭では、骨髄CD34^+細胞を二分し、一方は選択的増幅遺伝子を発現するレトロウイルスベクターで遺伝子導入を行い、もう一方は非発現ベクターで遺伝子導入を行い、両者を同時に自家移植した。移植3-6ヶ月後、エストロゲンまたはタモキシフェンを投与した。4頭のうち2頭において末梢血の薬剤濃度が100nM以上に達した。これらのサルの末梢血中では、選択的増幅遺伝子の導入された細胞が10倍前後に増加した(<0.1%から1%)。一方、非発現ベクターで遺伝子導入された細胞数は変化しなかった。選択的増幅遺伝子をレトロウイルスベクターに組み込むと、エストロゲン投与によって遺伝子導入された造血細胞を、体内で選択的に増幅することが出来る。さまざまな治療用遺伝子をこの選択的増幅遺伝子と組み合わせることによって、治療用遺伝子を発現する造血細胞を体内で増やすことが可能になる。この方法は、造血幹細胞遺伝子治療の新しい可能性を拓くものと期待される。
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