研究概要 |
ヒメツリガネゴケ胞子体由来RNAからヒメツリガネゴケPpKNOX1遺伝子の全長cDNAを単離し、その塩基配列に基づき対応するゲノム領域を単離した。ノザン解析、ジーンターゲティングによりPpKNOX1遺伝子3末にGUS遺伝子を挿入して発現解析を行った。その結果、PpKNOX-GUS融合タンパク質は受精前の卵細胞で細胞質に、受精後は受精卵の核で発現が見られ、その後胞子体の分裂組織周辺で発現が維持される。一方、配偶体世代(原糸体・茎葉体)の頂端分裂組織では発現が検出されなかった。 PpHB遺伝子グループ1と2に属するPpHB3,4,5,6,7,8,9の7遺伝子(Sakakibara et al.投稿中)について恒常的過剰発現形質転換体を作成した。また、相同組換えにより各遺伝子末端にGUS遺伝子を導入した。現在、それぞれについて表現型を観察中である。PHABULOSA遺伝子(PpHBグループ3)ホモログであるPpHB10遺伝子についても同様の実験を進めている。 PpHB7の発現様式、過剰発現体の解析から、この遺伝子は仮根(リゾイド)形成に関与していることがわかった。 シーンターゲティングによりPpMADS1遺伝子末端にGUS遺伝子を挿入し、PpMADS1-GUS融合タンパク質の発現を解析した。発現様式から、PpMADS1遺伝子は卵、精子形成、および胞子体での未知の作用に関与しているのではないかと推察された。 遺伝子トラップ系から得たAPI1はシロイヌナズナの機能未解明なキネシン類似遺伝子とともに、従来報告されたキネシンとは異なった、植物に特異的な新グループを構成することがわかった。
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