研究課題/領域番号 |
12039228
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (20203672)
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研究分担者 |
呉人 恵 富山大学, 人文学部, 助教授 (90223106)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
2002年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 東シベリア / フィールドワーク / 言語調査 / ユカギール語 / コリャーク語 / イテリメン語 / 言語コーパス / 記述言語学 |
研究概要 |
本研究では、東シベリアに話されているユカギール語・コリャーク語・イテリメン語(それぞれ下位方言群を含む)に関して調査研究を行った。今年度は最終年度にあたるため、過去2年間に蓄積された研究資料をも参照しそれらを有効に活用しながら研究を進めた。主要な研究成果は次の4点である。(1)これら諸言語に関して記述言語学の立場から現地調査を行った。(2)それによって得られた資料および過去の資料を検討し、過去2年間に引き続いて語彙・文法・テキスト面でのコーパス(資料体)ならびに画像音声資料を作成・蓄積する作業を進め、3年間の研究活動をまとめるとともに将来の研究への確実な基礎を築いた。(3)過去2年間および今年度に行った現地調査の成果に基づいてこれら諸言語の言語動態に関する考察を行い、現地におけるこれら諸言語の保存・継承の試みとの連携を図った.(4)2002年11月に京都で行われた特定領域科研「危機に瀕した言語」全体会議の環北太平洋班(A02)分科会において、現時点までの研究成果の一部について言語学的報告を行うとともに、東シベリアの危機言語の言語動態に関して報告し討議を行って、研究成果をできるだけ一般に還元するよう努めた。それぞれについてより詳細に述べるならば、研究代表者はユカギール語コリマ方言について現地調査を行い一次資料の収集と分析にあたる一方、研究協力者の長崎郁はこれと別の地域に話されるユカギール語コリマ方言について現地調査を行い、言語学的特徴の下位方言間での対照の可能性をも含めて研究資料のコーパス化をすすめた。これらの研究資料はユカギール語コリマ方言の用例付き語彙集の中に含めて出版する準備を進めている。また研究代表者は海外共同研究者G.N.クリロフとともにユカギール語全体の言語動態に関する資料を収集し、研究成果の現地還元のためのユカギール語教材作りの準備を進めた。一方研究分担者はコリャーク語(チャヴチュヴェン方言)に関して現地調査を行い、良質の一次資料の収集と分析を進めた。また研究分担者は研究成果の現地への還元としてコリャーク語の絵本を出版し、現地におけるコリャーク語保存継承の試みとの連携を図った。また研究協力者の小野智香子はイテリメン語北部方言の現地調査を行い、一次資料の収集と分析を進めた。この研究成果の一部はイテリメン語北部方言の文例集として出版する準備を進めている。本研究で扱った諸言語は話者数の減少・話者の高齢化が近年著しく、若年層への継承も切れかけた危機言語である。現地調査による資料の蓄積・コンピュータを利用したそれら諸言語のコーパス作成は、成果の現地還元が将来適切に行われるという条件の下で、それらの言語の保存継承に向けて一定の成果を収めえたと考える。
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