研究課題/領域番号 |
12042204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 靖典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30271646)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ロジウム錯体 / イリジウム錯体 / ビニリデン錯体 / 末端アルキン二量化 / トランス-ヒドロメタル化 / 触媒的ヒドロホウ素化反応 / アルケニルホウ素化合物 / エンイン / 末端アルキン二量体反応 / トランスヒドロメタル化反応 |
研究概要 |
我々は、既に末端アルキンのヒドロホウ素化においてEt_3N存在下、ロジウム触媒により(Z)-アルケニルホウ素化合物を選択的に与える形式的なtrans-ヒドロホウ素化反応を見いだし報告しているがその詳しい反応機構は明らかになっていなかった。本年度は反応機構解明のために重水素ラベル実験、中間体のNMRによる検討をおこなった。 1.重水素ラベル実験 1-D-1-オクチンに対するtrans-ヒドロホウ素化反応を行った。生成したビニルボランのβ-ビニル水素はボラン由来ではなく、アルキン末端水素が転移したものが選択的に得られた。 ロジウム-P^iPr_3錯体はアルキンと末端水素の転移を伴いながらvinylidene錯体を形成することが知られており、trans-ヒドロホウ素化反応がビニリデン錯体を経由して進行していることを強く示唆している。Et_3Nを添加しない場合やホスフィンをPPh_3に変えた場合には転移は観測されなかった。また、ヒドロホウ素化に活性のあるRuHCl(CO)(PPh_3)_3やシス体を与えることが確認されたRuビニリデン錯体、シス-ヒドロシリル化に有効な[RuCl_2(p-cymene)]_2をもちいてもアルキン末端水素の転移は起こらなかった。 2.中間体のNMRによる検討 NMRによる中間体に関する検討を行った。まず、重ベンゼン中[RhCl(coe)_2]_2にP^iPr_3、アルキンを添加すると三種類のロジウム錯体が^<31>P-NMRにより観測された、これらはそれぞれアルキンが配位した錯体(A)、アルキンの酸化付加体(B)、ビニリデン錯体(C)であることがわかった。また、Et_3Nを添加すると瞬時にビニリデン錯体変換されることもNMRにより明らかとなった。 また、ロジウム-ビニリデン錯体にカテコールボラン、またはカテコールボラン/アミン錯体を添加しても反応は進行しないが、ビニリデン錯体にさらにアルキンを加えるとホスフィンの一つが解離しアルキンが配位したビニリデン錯体となる。そこにボラン/アミン錯体を加えた時に、ビニリデン錯体と共にシス体の付加生成物がNMRにより観測された。つまり、ビニリデン錯体はボランに対して不活性であるがアルキンが一つ配位することで付加が容易に進行するようになりビニリデン錯体の1位の炭素に置換基とは逆の方向からボランが付加するために生成物はシス体になると考えられる。 従って、trans-ヒドロホウ素化反応は、傘高く電子豊富なP^iPr_3とアミンの効果によるロジウム-ビニリデン錯体の生成、もう一分子のアルキンの配位によるホスフィンの解離、ボランの付加、還元的脱離という触媒サイクルを経て進行していると結論できた。
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