研究課題/領域番号 |
12042238
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
戸田 幹人 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70197896)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | アーノルド拡散 / 高励起振動 / 反応制御 / カオス / レーザー / アーノルドの網の目 / エルゴード性 / 遷移状態 / ヘテーロクリニック交差 / 振動励起 |
研究概要 |
従来行われてきた反応制御の研究では、主に1自由度系が対象となってきた。この時、この自由度とレーザーとは直接に相互作用をするから、制御スキームを適切に設計することで、場合によっては100%の効率で反応制御を行うことができる。しかし実際の分子は多自由度である。多自由度系では、IVRのようなカオス的なダイナミックスが存在する。さらに、対称性から来る制約のために、レーザーと反応座標が直接に相互作用できるとは限らない。このような状況では、反応がIVRによって妨げられない事が必要となるし、場合によっては、IVRを利用して反応を制御する必要性すら存在する。このような状況において反応過程の解析を行い,さらには反応制御の可能性を探るに際して、ハミルトン力学系においてArnoldの網の目と呼ばれる、非線型共鳴の成すネットワークの性質が手がかりを与える。本研究では、赤外レーザーの下における高励起振動状態のアセチレンを対象に、Arnoldの網の目の諸特性が、反応過程にどのように効いてくるかを解析した。 このダイナミックスを詳しく解析するためには、反応に大きく効いている非線型共鳴を知る必要がある。異性化反応において重要な共鳴を特定するために、特定の共鳴モードのみを持つモデルハミルトニアンを構成し、その挙動を調べた。その結果、異性化反応のモデル化には、二つの非線型共鳴が本質的である事が分かった。このように、外場を含めて、3対の共鳴が必要であることは、この反応過程が「Arnold拡散」と関係していることを強く示唆する。この点の解明と、反応制御の効率化は、今後の課題である。
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