研究概要 |
本年度は可視・紫外の2色のレーザー光用いてICIの解離性イオン化における生成物の角度分布がどこで制御されているのかを調べた。実験は、YAG励起色素レーザーおよびYAGレザーより得られる304,355,532,608nmを用いた。ICI/Arの分子線に紫外光および可視光を同時に照射し、生成したI^+を加速電極で反跳させ飛行時間で選別した。さらにイオンが蛍光スクリーンに衝突してできた蛍光をCCDカメラで撮影し積算した。レーザー強度は紫外光が2mJ/pulse、可視光が15mJ/pulseでおこない、紫外光と可視光の遅延時間を変えた実験をした。 紫外光をヨウ素原子の共鳴波長からずらすと、当然I^+は見られなくなるが可視光を同時に照射することで再びI^+が観測される。その画像より得られた重心座標系での並進エネルギー分布および異方性パラメーターβ_2〓0.7である。 入射紫外光、可視光の偏向電場ベクトルと検出軸方向zの組み合わせをいろいろ変えて実験をおこなった。I^+の空間角度分布はE_<VIS>には依存せずにE_<uv>の方向のみに依存していることがわかった。さらに、I^+の空間角度分布I(θ)の角度因子β_2を求めるのに高次項を用いた。解析の結果、P_2(cosθ)以外の項はでてこなかった。以上のことから、紫外光励起過程がI^+の空間角度分布を決めている一光子過程であることがわかった。
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