研究課題/領域番号 |
12042240
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
|
研究分担者 |
西長 亨 京都大学, 化学研究所, 助手 (30281108)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | ラジカルカチオン / 2価カチオン / X線結晶構造解析 / シグマーパイ共役 / ジチイン / 結合交替 / 芳香族性 / COT2価アニオン / ケイ素カチオン / シクロヘキサトリエン / 平面性COT |
研究概要 |
1.完全にビシクロ[2.2.2]オクテン(BCOと略記)の縮環したフルオレンを合成してこれを安定なラジカルカチオン塩に変換・単離し、X線結晶構造解析によりその詳細な構造決定に初めて成功した。また、さらなる酸化により対応する2価カチオンを発生させ、NMR測定によりこれが新規なビフェニル2価カチオンとしての性質をもつことを見出した。同様にBCOユニットの縮環したトリフェニレンを合成し、そのラジカルカチオンが環縮小を伴う転位により、新しいスピロ結合をもった安定なアレニウムカチオン塩を与えることをX線結晶構造解析により明らかにした。 2.2個のBCOユニットの縮環した1,2-ジチインは極めて容易に一電子酸化を受け、極性溶媒中では平面電子系をもつラジカルカチオンを与えること、また、この化学種は無極性溶媒中では不均化により、2個のジスルフィド架橋に陽電荷と不対電子が非局在化した、全く新しい結合様式と電子構造をもつテトラチア誘導体に転位することを、X線結晶構造解析と理論計算の結果から明らかにした。 3.BCOよりひずみの大きなビシクロ[2.1.1]ヘキセン(BCHと略記)の縮環したベンゼン1およびシクロオクタテトラエン(COT)2の化学反応性について詳細に検討した。ベンゼン1とCOT2はともに顕著なσ-π共役により上昇したHOMOレベルをもち、これを反映して容易に一電子酸化を受けるが、1のラジカルカチオンはさらに転位して、1,2-および3,4位にBCHユニットの縮環したナフタレン3を与えること、また3はMills一Nixon効果により通常のナフタレンとは異なった結合交替をもち1,4位で容易に三重項酸素と反応して過酸化物を与えることをX線結晶構造解析の結果から明らかにした。一方、COT2からは暗赤色の安定なラジカルカチオン塩が得られ、また、二電子還元により10π電子系としての芳香族性をもつ2価アニオンが生じることを明らかにした。
|