研究課題/領域番号 |
12042255
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高田 彰二 神戸大学, 理学部, 助教授 (60304086)
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研究分担者 |
田村 厚夫 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (90273797)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 人工設計 / フォールディング / エネルギーランドスケープ理論 / 3本ヘリクッス束 / タンパク質 / Zスコア / 3本ヘリックス束 |
研究概要 |
本プロジェクトでは、理論モデルに基づいて人工タンパク質を設計し、それを実際に生合成し、その立体構造や折れたたみ反応の熱力学的および速度論的解析を行う。その結果を理論にフィードバックさせることにより理論モデルを改良する。理論家と実験家の共同によりこのサイクルを繰り返し、それを通じてタンパク質の立体構造を形作っている物理化学的な原理を理解するとともに、新規な人工タンパク質を造ることを目指した。【配列設計の結果】モンテカルロアニーリングシミュレーションによって、Zスコアを最小にする配列を探した。設計と折りたたみの繰り返しによる変性状態構造アンサンブルの構築とZスコアの改良によって設計された配列は高いフォールド能力を持ち、Target構造との相同性を高めている。エネルギーランドスケープを見ると、Target構造との相同性(Q値、Q値が大きい程Target構造に近い)が高い程エネルギーが低くなっており、このデザイン配列の高いフォールド能力を示唆している。上の方法を用いてDHB01からDHB20までの配列を設計した。【人工設計タンパク質の合成実験】設計されたアミノ酸配列が実際に立体構造をとっているかどうかを調べるために、この20種のうち、cavity体積などのスコアから評価した上位3種(DHβ06、DHB09、DHB19)を選択しペプチド合成機を用いて化学合成を行い、その構造安定性をCD(円二色性)、NMR(核磁気共鳴)の手法を用いて調べた。far UV領域でのCD測定においてDHB09、DHB19の2種はランダムコイル状のスペクトルであったが、DHB06は典型的なα-ヘリックス様のスペクトルを示した。DHB06の温度に対する安定性を調べたところ90℃において完全変性し、かつこの変性が可逆であることが分かった。そこで、Native-Denatured間の二状態転移モデルで波長222nmにおけるCD値の熱変性曲線のcurve-fittingを行った結果、エンタルピー変化25kcal/mo1および転移中点温度79℃を得た。これは、野性型の値(ΔH=20kcal/mo1、Tm=80℃)に匹敵する値である。一方、1H-NMR測定によるとDHB09やDHB19の一次元NMRスペクトルは、アミノ酸由来のシャープな様相を呈した。対照的にDHB06のスペクトルでは高磁場シフトしたメチル基や低磁場シフトしたヒスチジン残基のピークなど、DHB06が三次構造を持つことが示唆された。この結果は、天然状態様の三次構造を持つ配列設計の成功を示している。
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