研究課題/領域番号 |
12042274
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
長村 吉洋 立教大学, 理学部, 教授 (50160841)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ベンザイン / [2+2]環化付加反応 / 位置選択性 / 分子軌道法 / 密度汎関数法 / 量子化学計算 / 対称禁制反応 / 置換基効果 / 熱的禁制反応 / 分子軌道計算 / ポテンシャルエネルギー面 |
研究概要 |
本研究では、ベンザイン側の置換基とオレフィン側の置換基の違いによって、[2+2]環化付加反応機構がどのように異なるのか、種々の異なった置換基によってポテンシャルエネルギー面がどう変化するのか、ab initio分子軌道法を用いて理論計算により検討した。そして位置選択的な環化付加反応を制御している電子的効果および立体的因子について調べた。 計算方法は、無置換の場合についてHF法、B3LYP法、MP2法等を検討したが、CASSCFと比較して、電子相関を適度に取り入れた密度汎関数法が比較的よい結果を与えることがわかった。 無置換後のベンザイン+エチレンの場合では、twitter ionicな中間体を形成する前に存在する第1の遷移状態TS1のエネルギーは+12.5kcal/molの方が、中間対から生成物に至る際に存在する第2の遷移状態TS2のエネルギー+5.0kcal/molよりも高くなっている。ベンザイン側にOH基を導入した場合でも、オレフィンにOH基を導入した場合でも、TS1,TS2のエネルギーは共に約5kcal/mol程度低くなり、OH基によって反応性が高められることを示している。 ベンザイン側に、より電子吸引性の高いフッ素を置換したフッ化ベンザインと、メトキシエチレンの場合について調べてみると、最も有利な経路の第1の遷移状態のエネルギーは、メトキシベンザインの場合よりも半減しており、エネルギー障壁はフッ素置換によって約4kcal/molの減少を示す。 次に、オレフィン側に2つのメトキシ基を導入するモデルとして、1,3ジオキソランとの反応について考察した。その結果、これまで2段階反応であった環化付加反応が1段階反応となり、エネルギー障壁が非常に低くなることがわかった。このことは、熱的に禁制な[2+2]反応であっても、ベンザインおよびオレフィンの置換基を制御することによって、反応機構を変化させ、極めて選択的で、しかも高い反応性を持つ場合が、量子化学計算によって理論的に予測できるということを意味しており、今後の実験的検証が期待できる。
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