研究概要 |
中南米に生息するAtelopus(ヤセヤドクガエル)属のカエルの多くは、主に皮膚に水溶性毒を有する。1975年にコスタリカ産のAtelopus属のカエルからtetrodotoxinが同定されたが、zetekitoxinはすでに1969年に、Furman,Mosherによってパナマ産のA.zetekiに存在する新規の水溶性低分子毒として報告された。しかし、zetekitoxinは、その後、A.zetekiが保護条約下に置かれ、試料が入手出来なくなったことから、その構造は発見から約30年間未定であった。韓国科学技術院のY.H.Kim教授から規制前に精製された半精製品及び精製品のzetekitoxinを供与された。本研究は立体構造を含めたzetekitoxinの構造決定を行うことを目的とした。 1.精製 Biogel P-2,BioRex70,Hitachi gel3011Cを用いたHPLCで半精製品のzetekitoxinを精製し、純品を約300-400μg得た。 2.性状 FT-IR(ZnSe)1702,1561,1421,1338,1268cm^<-1>;HR-ESIMS[M+H]^+m/z553.1369(calcd for[C_<16>H_<25>N_8O_<12>S_1]^+m/z553.1313.[M-SO_3+H]^+m/z473.1725(calcd for[C_<16>H_<25>N_8O_9]^+m/z473.1744.この結果から、硫酸エステルの存在が示唆された。TLC(Silica gel 60)Pyr-EtOAc-AcOH-H_2O(15:7:3:6)Rf0.57(tetrodotoxin:0.50,saxitoxin:0.36).saxitoxinと同様に1%H_2O_2/H_2O(v/v)噴霧、加熱後にUV365nmで蛍光スポットとして検出された。 3.NMRスペクトルと平面構造の推定 NMRスペクトルは全て4%CD_3COOD/D_2O中、20℃か30℃で測定した。^1H-^1HCOSY,TNTOCSY,HSQC,HMBC,NOESY,NOE差,^<13>C NMRスペクトルの解析から、saxitoxin骨格を部分構造にウレタン、N-OHをもつ、非常に特異な新規構造を推定した。
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