研究課題/領域番号 |
12045220
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葛山 智久 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30280952)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | isoprenoid / biosynthesis / mevalonate pathway / Streptomyce / IPP isomerase / Staphylococcus aureus / antibacterial compound |
研究概要 |
isopentenyl diphosphate(IPP)isomeraseは、steroid、carotenoid、ubiquinone等のisoprenoidの生合成に必須な酵素の一つであり、IPPと、そのisomerであるdimethylallyl diphosphateとの相互変換を触媒する。この酵素をコードする遺伝子idiは、ヒトを含む多くの真核生物からはクローニングされていたが、多くの原核生物では、そのhomologは見つかっていなかった。我々は、テルペンーポリケタイド融合化合物ナフテルピンを生産する放線菌Streptomyces sp.CL190株由来のisoprenoid生合成のためのmevalonate pathway遺伝子クラスター中に存在する機能未知遺伝子orfDの機能解析を行っていた。相同検索からは、このorfD産物が、ゲノム配列が解明された全ての古細菌や黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusを含むいくつかの真正細菌に存在することは判明したが、その機能に関する情報は得られなかった。そこで、大腸菌で大量発現させたorfDの組み換えタンパクの触媒する酵素反応を精査したところ、このタンパクは、flavin mononucleotide(FMN)を含むflavoproteinであり、FMNとNADPH存在下でのみIPP isomerase活性を示すことが判明した。このorfD産物は、ヒトを含む真核生物由来の既知のIPP isomeraseのアミノ酸配列とは全く相同性を示さない。一方、真核生物由来のIPP isomeraseは、FMNやNADPHを要求しない。これらのことから、orfD産物は、真核生物のIPP isomeraseとアミノ酸配列も反応機構も異なる全く新しいタイプのIPP isomeraseであることが明らかとなった。我々は、IPP isomeraseのこれらの酵素学的性質の差に基づき、FMN/NADPH依存型のIPP isomeraseをtype2、それ以外のIPP isomeraseをtype1と分類することを提唱した。S.aureusの生育にIPP isomeraseが必須であること、及びS.aureusのIPP isomeraseがヒトのIPP isomeraseとタイプが異なることから、S.aureusのIPP isomeraseはS.aureus特異的かつ副作用の少ない抗菌剤創製のための新しい分子標的であると考え、現在、阻害剤のスクリーニングを展開している。
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