研究概要 |
今年度はformyl-Met-Leu-Pheを用い以下の実験を行った。 1.メーヤワイン試薬を用いる方法 イミノエーテルは穏和な条件でエステルに変換可能で、後者は弱アルカリで切断することができるため、アミドをイミノエーテルに変換することを第一の目的とした。文献(Syn.Commun.1997,27,923)にある条件にしたがい、formyl-Met-Leu-PheとEt3OBF4の反応を試みたが、薄層クロマトで原点成分を与えたのみで、期待したイミノエーテルを得ることはできなかった。 2.Boc化によるペプチド結合の活性化 アミド結合をBoc化すると、弱アルカリでアミドが選択的に加水分解されることが知られている(J.Org.Chem.1997,62,7054)。まず、Boc化の反応条件を検討した。反応溶媒としてTHFが推奨されているが、文献記載どおりMeCN中での反応は非常に遅かった。しかし、通常のペプチドはTHFに溶けにくい。そこで、Boc化の前にTHFに可溶な誘導体とする必要がある。そこで、カルボキシル基はメチル化、アミノ基と水酸基はアセチル化することとした。メチルエステル化はHCl/MeOH中、室温で進行した。溶媒を留去したのち、無水酢酸_ピリジンでアセチル化を行った。反応物を減圧下長時間乾燥しても塩が残存し、Boc化を妨げることが判明した。そこで、アセチル化の後にODSの小カラムを通し脱塩を行うと、Boc化がスムーズに進行した。得られたペプチドのアミド結合は含水メタノール中2当量の水酸化リチウムで速やかに加水分解され、Boc化アミノ酸を与えた。
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