研究課題/領域番号 |
12045235
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上村 大輔 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00022731)
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研究分担者 |
小山 智之 (諏佐 智之) 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 博士研究員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
29,000千円 (直接経費: 29,000千円)
2002年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
2001年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2000年度: 10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
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キーワード | 麻酔作用物質 / ブラリナトガリネズミ / ベッコウバチ / 単離・構造決定 / 食中毒原因物質 / マベガイ / 被覆状カイメン / 細胞毒性 / 毒性タンパク質 / ナキテルピオシン / 鍵化学物質 / 天然有機化合物 / 麻酔物質 / 摂餌刺激物質 / オニヒトデ / 未解明生物現象 / トガリネズミ / アラキドン酸 / ブテリアトキシン / ピンナトキシン / ピンナミン |
研究概要 |
自然界には鍵物質の短寿命あるいは稀少性が障害となり、自然科学的解明を退けてきた生物現象が数多く残されている。このような問題を解決し、従来にない生命現象の解明の糸口となる、重要で付加価値の高い有機分子の発見を目指した。 北米に生息する食虫動物ブラリナトガリネズミBlarina brevicaudaの唾液には毒が含まれ、捕食に用いているとされる。この顎下腺抽出物に、マウスに対する痙攣、後脚の麻痺といった特徴的な致死症状を伴う急性毒性を確認した。この毒性を指標に分離を行い、分子量約32.4kDaの毒性タンパク質ブラリナトキシンを単離した。アミノ酸一次配列を決定し、セリンプロテアーゼの一種カリクレインと高い相同性を示すことも明らかにした。哺乳動物由来では初の毒性物質の解明であり、従来にない超機能性物質として期待される。 ベッコウバチCyphononyx dorsalisは昆虫に麻酔をかけてから卵を産みつけ、孵化した幼虫が麻酔のかかった昆虫を食べて成長するときれる。毒嚢から直接絞り出した高純度の毒液を昆虫などに注射し、実験室においても一ヶ月半ほど継続する麻痺を再現することができた。この試験を指標に分離および二次元電気泳動と質量分析によるアミノ酸配列の解析を行い、ベッコウバチの麻酔成分の一つが、キナーゼと類似した新規タンパク毒であることを明らかにした。 マベガイPteria penguinは沖縄以南の熱帯・亜熱帯に分布する大型の二枚貝である。この内臓、外套膜の抽出物から、強力な急性毒性を有する新規ポリエーテル化合物プテリアトキシン類を単離した。800MHzNMR、ESI-MS/MSによる解析により、ナノモル量での構造決定に成功した。 沖縄産カイメンTerpios hoshinotaはサンゴに被覆し侵食して成長することから、サンゴに対して何らかの毒性物質を分泌していると考えられた。この特異的な生物現象に注目し、強力な細胞毒性を有する新規化合物ナキテルピオシン(IC_<50>=0.01μg/mL)の単離、構造決定に成功した。サンゴ礁保全に寄与する鍵物質として期待される。
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