研究課題/領域番号 |
12045243
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 道雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40183652)
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研究分担者 |
吉田 学 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (60301785)
松森 信明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50314357)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
2002年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2000年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | ナノモル構造決定 / 精子誘引物質 / 精子活性化物質 / ホヤ / 硫酸化ステロイド / NMR構造解析 / MS / 全合成 / アンフォテリシンB / ポリエン抗生物質 / 作用機構 / クロスリンカー / コレステロール / エルゴステロール / 鍵化学物質 / 誘引物質 / タンパク質糖化 / 高感度NMR |
研究概要 |
原索動物・ホヤは近年新しい実験動物として注目されており、またその発生過程で脊索を形成するため、脊椎動物の進化の側面からも生物学的に興味ある生物群である。ホヤの精子は、受精のときに卵が放出する化学物質を感受することによって、運動が活発になり、さらに卵に近づいてゆくことが知られていた。ホヤ以外でも、卵が精子を活性化し、あるいは誘引する事実が数多く知られており、生物界では極一般的な現象である。これらの化学物質や活性、種の保存に重大な役割を有しており、生物の進化や多様性の観点からも大変興味が持たれる。しかし、それらの多くは極微量物質であるために、構造が解明されたのはわずか数例にすぎない。 われわれは、カタユウレイポヤ(Ciona intestinalis)の卵から発せられる精子の誘引物質の化学構造の解明を目指して研究を行った。まず、高速度ビデオ撮影によって精子運動を記録することにより走化性を定量化し、それを指標として誘引物質の精製を進めた。得られたホヤ精子に対する誘引物質は非常に強い活性を示し、かつ、この物質単独で走化性以外に精子運動を活性化する作用を示した。純粋に得られたSAAFは微量であり重量を求めることはできなかったが、合成品のNMRデータなどから4マイクログラム、モル量では約6ナノモルと推定された。微量試料の2次元スペクトル測定およびMS/MSスペクトルによって新奇の硫酸化ステロールであると推定された。得られた推定構造を化学合成することによって、生物活性と立体化学を確認することができた。本研究では、天然物の構造決定の微量化という点でも画期的な成果を挙げることができたと考える。
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