研究概要 |
植物の生体防御機能解明の一環として,アポトーシスにおける実行カスケード,特にモノテルペノイドによって化学ストレスをかけた際のその植物の細胞内蛋白質の変化を調べた。 1.カミツレ培養細胞(Matricaria chamomilla)にゲラニオールを投与すると,53kDaのタンパク質がゲラニオール投与後1時間で分解されることがわかった。アミノ酸配列を解析した結果,この53kDaのタンパク質はカルレティキュリンであることがわかった。 2.分解して生じた蛋白質部分を調べると,カルレティキュリンのC末端が消去されていることがわかった。カルレティキュリンはC末端に小胞残留シグナルであるHDEL配列を持っていることが知られているので,次にHDEL配列を切断したカルレティキュリンを調製し細胞に投与した。その結果,HDEL配列を切断したカルレティキュリンが核内へ移行することが示された。 3.動物細胞においては,核内へ移行したカルレティキュリンはリンカーヒストンと結合することが知られているので,アポトーシスが進行している核内からヒストンH4を取り出し,翻訳後修飾過程を調べた。その結果,ヒストンH4は通常リン酸化およびアセチル化されているが,アポトーシスが進行するにつれて脱アセチル化されることがわかった。
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