配分額 *注記 |
12,800千円 (直接経費: 12,800千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
単細胞鞭毛藻ミドリムシ(Euglena gracilis)から全く新しいタイプの青色光センサーを同定することに成功した:ミドリムシは光回避反応や光集合反応を示し、その作用スペクトルは紫外一青色域にピークを持ち、フラビンの吸収スペクトルによく対応する.また,細胞の鞭毛基部付近にはフラビン特有の蛍光を示し光受容器官候補のPFBという粒が一個存在する。我々は、PFBを単離する方法を開発し、得られた標品を溶解してフラビンタンパク質の精製を進め、分子量約40万の画分を得た。蛍光スペクトル特性と薄層クロマトグラフィーからフラビンはFADと判断された。このタンパク質は,分子量約10.5万と約9万の2種類のサブユニットから成るヘテロ四量体で、それらサブユニットはいずれも、フラビン結合領域とサイクリックAMP(cAMP)を産生する酵素であるアデニル酸シクラーゼの触媒領域をそれぞれ交互に2箇所ずつ含む。精製したタンパク質は確かにcAMPを産生する活性があり、この活性は青色光照射により数十倍にも増大したので、光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC : Photoactivated Adenylyl Cyclase)と名付け、構成サブユニットをPACα,PACβと名付けた。RNAiの手法でミドリムシにおけるPACの発現を抑えたところ、PFBが消失し、さらに光回避反応を全く示さなくなった。一方,光集合反応は正常であったことから,PACはミドリムシの光回避反応の光センサーとして機能していることが証明された。cAMPの関与する信号伝達系は,多くの場合3種類のタンパク質で構成されるが,PACは単独でこれらを合わせたような機能を発揮するユニークな分子であるので、cAMPの関与する様々な生体機能、例えば軸索ガイダンスや記憶、発生分化等を光でスイッチングする、「細胞機能光スイッチ」としての応用も期待される。
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