配分額 *注記 |
12,800千円 (直接経費: 12,800千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
今回,我々は猛毒を有することで知られる刺胞動物群のタンパク質毒素について研究を行い,以下のような成果をあげることができた.強い毒性を有することで知られる立方クラゲ類,ハブクラゲ,アンドンクラゲ,Carybdea alataの3種類からその主要タンパク質毒素を活性を保持したままの単離に成功した.また,これら毒素群をコードしている遺伝子の全塩基配列ならびにアミノ酸一次配列の解明に成功した.これら立方クラゲ類のタンパク質毒素群は,今までに知られている生理活性タンパク質とはまったく異なる新しいタンパク質ファミリーを形成していることが判明した. ウンバチイソギンチャクおよびフサウンバチイソギンチャクは強い毒性で知られている.これらから,主要タンパク質毒素であるPsTX-60AおよびAvTX-60Aをそれぞれから単離し,その全塩基配列ならびに全アミノ酸一次配列を明らかにした。そして,これらはMACPFドメインタンパク質の新しいメンバーであることが明らかとなった. ウンバチ、フサウンバチの両イソギンチャクによる刺症が極めて激しいことは、これら主要毒素のMACPFドメインタンパク質としての細胞障害作用が原因になっていると推測される。今回の発見は、すべての生物を通してMACPFドメインタンパク質が自己生体外において毒素として働くことを示した初めての例であった。 本研究を通して立方クラゲ類やウンバチイソギンチャク、フサウンバチイソギンチャクといった猛毒を有する刺胞動物毒素の研究から、刺胞動物は新しい化学的性状や興味深い作用メカニズムをもつ生理活性タンパク質の宝庫であることが示された。今後、多くの海洋危険生物のタンパク質毒素の性状や作用メカニズムが解明されることにより、新しいタンパク性医薬製剤や刺傷被害に対する効果的な治療法の開発につながることを期待する。
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