研究課題/領域番号 |
12046223
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
益田 隆嗣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (90313014)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | スピン・パイエルス系 / 反強磁性状態 / フラストレーション / 圧力効果 / 不純物効果 / 磁化率測定 / X線回折 |
研究概要 |
スピン・パイエルス物質CuGeO_3に不純物を置換することによりスピン・パイエルス(SP)相が抑制されるとともに反強磁性相が誘起されることが知られている。また、さらに高濃度に不純物を置換することによりSP相は消失することも知られている。そこで、私はSP相が消失した高濃度に置換された試料における圧力効果の研究を行った。磁化率測定を行った結果、圧力印加により通常の反強磁性体からスピン・ギャップを有する系へと変化していることが明らかとなった。そこで、このスピン・ギャップを有する相が、格子歪みを伴うSP相であることを明らかにするために、低温高圧下における放射光X線回折実験を行った。大気圧下においては、過去に報告されている通り、不純物によりSP相は消失し超格子ピークは観測されなかった。ところが、1GPaにおいて格子二量体化に伴う超格子ピークが観測された。磁化率で、何らかのスピン・ギャップを伴う相転移が圧力により誘起された結果とあわせて考えると、不純物により消失したSP相が圧力により誘起されることが明らかとなった。 磁化率測定から、鎖内最近接スピン相互作用(J_1)と次近接スピン相互作用(J_2)のフラストレーション(α)が増大することが知られてい乱また中性子散乱から鎖間相互作用(J')の増大が報告されている。鎖間相互作用J'の増大は、SP相を不安定化し、反強磁性相を安定化させる。しかし、実験結果から、圧力印加によりSP相が復活していることから、スピン相互作用のフラストレーションαの増大がSP相を安定化させると考えないと実験結果は説明できない。この系においてはJ'とαの競合が生じており、大気圧下においては前者の効果が主となり反強磁性状態が実現しているのにたいし、圧力下においては後者の効果が主となり、SP相が実現されていると考えられる。 本研究により、次近接相互作用と最近接相互作用との競合が存在するスピン・パイエルス系の物理の理解が深まった。
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