研究課題/領域番号 |
12046227
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 和夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (70114395)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | パイロクロア格子 / フラストレーション / S=1ハイゼンベルグスピン系 / VBS状態 / 格子歪み / スピン誘起ヤーンテラー歪み / 重い電子系 / カイラル秩序 |
研究概要 |
当研究課題では、三次元スピン軌道結合系における量子ゆらぎに焦点を当てた理論研究を目的としている。具体的な対象として、まずfccスピネル構造上のハイゼンペルグスピン系を考えた。 この格子上のS=1ハイゼンペルグスピン系について、一次元のValence Bond Solidの考え方を三次元の系に拡張して、VBS的な無秩序相の可能性について調べた。一次元とことなり、三次元では、VBS的な状態にマクロな縮退が残ることが期待される。この縮退を解く方法としては、格子との結合や、最近接対以外のスピン間の相互作用などが考えられる。まず前者について考察し、磁気転移を伴わない構造相転移が可能であり、その結果生じる構造はZnV_2O_4やMgV_2O_4で観測されているものと一致していることを明らかにした。 次に、スピン間の相互作用によって縮退を解くことについても考察した。この場合カイラル秩序が生じる可能性があるか否かが、面白い問題である。カイラリティーを対角化する擬スピン表示をとった時の有効ハミルトニアンは、XXZ型となることを示し、カイラル秩序は生じないことおよび、その時の秩序変数はパリティーを破るものであることを明らかにした。 続いて、同じスピネル構造上のt_<2g>軌道の拡張ハバード模型をもちいて、軌道縮退が重要な寄与をしている金属状態について研究した。乱雑位相近似を用いて、スピンの揺らぎ、軌道の揺らぎスピンと軌道の混成した揺らぎのスペクトルを調べた。LiV_2O_4で見られる重い電子的振舞いは、こうした揺らぎ全体から生じていることを明らかにした。
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