研究概要 |
13年度においては、試料調整用のガス雰囲気制御アニール炉の整備の継続、及び、中性子散乱による電荷秩序相のLa_<0.6>Sr_<1.4>MnO_4の磁気励起の観測を集中して行った。La_<1-x>Sr_<1+x>MnO_4の実験では、広範囲な運動量遷移、エネルギー遷移空間に渡ってその励起の様相を測定し、電荷秩序によって長周期となった記事構造を反映したゾーンから立ち上がる、相互作用が大きく再規格化されたと思われる(4J_<AF>S〜17meV程度)反強磁性スピン波の分散を観測した。この反強磁性スピン波は、酸素ドープしたLa_2NiO_<4+δ>でも見られたように、長波長領域においてのみ安定で、高いエネルギーでは強度を失う。また、この反強磁性スピン波と共存する形で、強磁性スピン波が存在する。このスピン波は、4J_FS=35meVの相互作用の大きさを持ち、ゾーン中心からゾーン境界まで明瞭に観測される。これらの磁気励起の様相の解釈は現在検討を重ねている最中であるが、いずれにしろ、極めて複雑な電荷秩序系の磁性の一端を捉えることに成功したと考えている。 この他、英国、米国の研究者と共同で、ラザフォード・アップルトン研究所の中性子散乱研究施設にて、La_<2-x>Sr_xNiO_4の高エネルギースピン波励起の測定を試みたが、実験装置の故障によるトラブルのため、残念,ながら結果を得ることができなかった。 本課題による研究は13年度で終了となるが、一部には、完全に解明できなかった問題も残された。これらに関しては、今後の研究の課題としたい。
|