研究概要 |
巨大磁気抵抗(CMR)効果を示すペロブスカイト型マンガン酸化物の単結晶を作成し、異常金属相における輸送現象および光学的測定を行った。 1.La1-xCaxMnO3単結晶の絶縁体-金属転移を、電気抵抗率、磁化率、比熱の測定を通してxの関数として詳細に調べ、典型的なCMR系であるLal-SrxMoO3と比較検討した。(La, Ca)系は(La, Sr)系に比べて強磁性金属相への転移が1次転移的であり、結晶格子系と伝導電子系の結合がより強く、したがって、そのCMR効果の振舞いも単純な2重交換模型だけでは説明できない。絶縁体-金属転移近傍の臨界現象は、(La, Sr)系に比べて電子の有効質量の増大はほとんど同じであるにもかかわらず、電気抵抗率の上昇は顕著である。また、静水圧を加えることによって絶縁体-金属転移近傍の絶縁体試料を金属化することに成功したが、このとき低温金属相領域で電気抵抗率に特異な上昇が見られることから軌道の自由度がマンガン酸化物の金属相における重要な散乱機構であると予想されることを示した。 2.La1-xSrxMnO3系の絶縁体金属転移近傍において光学電気伝導率を測定し、金属側でドルーデ的な振舞いからMI境界に近づくにつれてインコヒーレント成分が増大する顕著なspectral weightの変化を得た。スペクトル変化の解析から、MI転移近傍では0.1eV程度のエネルギースケールの変化が顕著であり、絶縁体相へ近づくにつれてコヒーレント成分の減少が著しい事を明らかにした。MI転移近傍ではランダムネスや軌道の自由度との結合によって電荷が局在しやすい状況になっていることを明らかにした。 3.La0.7(Cal-ySry)0.3Mn03系において磁気輸送現象と磁場構造転移現象を調べた。伝道電子系と格子形の結合が極めて強い事を明らかにした。
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