研究分担者 |
寺嶋 孝仁 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40252506)
川崎 雅司 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90211862)
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70068138)
中山 則昭 山口大学, 工学部, 助教授 (00164369)
小菅 皓二 京都大学, 大学院・理学研究科, 名誉教授 (00025371)
吉村 一良 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70191640)
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配分額 *注記 |
67,500千円 (直接経費: 67,500千円)
2003年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2002年度: 20,500千円 (直接経費: 20,500千円)
2001年度: 16,600千円 (直接経費: 16,600千円)
2000年度: 21,900千円 (直接経費: 21,900千円)
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研究概要 |
本研究は,本特定研究領域の主たる課題である,電子のスピン・電荷・軌道自由度の結合系として新たな多重自由度量子現象を示す強相関遷移金属酸化物系の物質設計・探索・合成を固体化学的な立場から行うことを目的としている.そのために興味ある化合物群について,結晶構造,組成,状態図の観点から,化学的にキャラクタリゼーションを行い,金属伝導を示す低次元量子スピン系の振る舞いを物性実験的に検証し,物質設計・探索・合成にフィードバックを行った.それによって,新しい金属伝導を示す量子スピン凝縮現象などの新しい多重自由度量子現象を示す物質を見出し創製することを目的に研究を行った.その結果,本研究においてパイロクロア型酸化物Cd_2Re_2O_7が超伝導を示すことが見出され,さらにこの物質の単結晶を作成に成功し,T^*〜200Kにおいて,2次の構造相転移を示し,その際,帯磁率・電気抵抗率ともにT^*以下において大きく減少を示すことか明らかになった.また,^<111>Cd-NMR測定から,T^*以下においてはスピン励起が減少することから,パイロクロア格子はいわゆる四量体を形成し,擬ギャップ状態となることが明らかになった.この現象は,本系の超伝導発現と密接な関係があると考えられる.このようにパイロクロア型Cd_2Re_2O_7は,格子・スピン・電荷・軌道といった多くの自由度が絡み合った非常に興味深い系であることが明らかになった.また,三角格子超伝導体Na_xCoO_2・yH_2Oについても詳細な核磁気共鳴実験を行い,ナイトシフトがT_c以下で本質的には温度変化しないことや,核磁気緩和率1/T_1がT_c直下でコヒーレンスピークを示さずT_c以下でT^3の温度依存性を示すことから,この系がトリプレット超伝導体である可能性が高いことが見いだされた.
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